第二章
[8]前話
「メロちゃんね、渡辺さんのところの」
「うん、どうしたのかな」
「うん、実はね」
ここで一人の男の子敦弥と同じ位の子が出て来た、大きな目とあどけない顔立ち分厚い唇を持つスポーツ刈りの背の高い子だ。敦弥のクラスメイトの岡田利治である。親は警察官である。
「狂犬病の予防接種行けなかったから」
「それでなんだ」
「お父さんその時お仕事でお母さんも急にお葬式に出ないといけなくなって」
「それでなんだ」
「僕も学校だったしね」
「ワン」
それでとだ、その犬を見つつ話した。
「今日ここでなんだ」
「予防接種してもらうんだ」
「そうなんだ」
「ええ、狂犬病もよ」
優華は利治の話を聞いて言った。
「周りにも迷惑かけるけれど」
「感染症だからだね」
「それ以前にワンちゃんにもよくないわ」
こう息子に話した。
「だからちゃんとね」
「予防接種しないといけないんだね」
「そうよ、ワンちゃんを家族にするなら」
母はさらに話した。
「こうしたね」
「健康のこともなんだ」
「気をつけないといけないわ」
「いつもだね」
「狂犬病のことも含めてね」
「そういうことだね」
「ええ、だからね」
それでと言うのだった。
「これからもね」
「キャンディーの健康のことはだね」
「気を付けていきましょう、家族皆でね」
こう話した、そしてだった。
キャンディーを診てもらったが幸い大したことはなく薬を注射してもらって終わった、そして家に帰ってだった。
仕事から帰った夫に愛犬のことを話すと大事がなくてよかったと笑顔を向けられた。そうしてだった。
一家でこのことを喜んだ、病気になったのは不幸だったがそれが注射だけで済んだことを。だがキャンディーはというと。
「クゥ〜〜ン・・・・・・」
「何が残念そうだね」
「病院も注射も嫌いだからね」
母がキャンディーを見て言う息子に答えた。
「それでよ」
「病気が治ったのにね」
「それでもよ、けれどよくなったしね」
それでというのだ。
「明日からは元気にお散歩も出来る筈よ」
「そうなんだ」
「じゃあ明日からまたね」
「お散歩にもだね」
「行きましょう」
息子に笑顔で話した、そして実際に次の日からキャンディーはまた元気になった、それで散歩も一家と共に楽しんだのだった。
犬も病気になるから 完
2022・12・22
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