第一章
[2]次話
熊鈴は必要
大阪の都島区でブティックの店員をしている吉原利平は登山が趣味だ、それで時々大阪を離れて登山を楽しんでいるが。
その時今から登る山に熊が出ると麓の店で言われて笑って返した。
「いや、ここ本州ですから」
「だからですか?」
「熊って言ってもツキノワグマで」
こう店員に言うのだった、面長で一重の優しい目で唇は分厚い。細い眉で黒い髪の毛を短くしている。背は一七五程で筋肉質である。
「大きくないですから」
「熊鈴なくてもですか」
「会っても怖くないですよ」
やはり笑って言った。
「別に。大人しい熊ですしね」
「そうですか」
「これ北海道で」
この地域の山でというのだ。
「熊が出るならです」
「熊鈴もですか」
「必要ですよ、ヒグマは大きくて気性が荒いんで」
それ故にというのだ。
「熊鈴も必要ですが」
「本州ならですか」
「ツキノワグマなら大丈夫ですよ、ですから」
「熊鈴はいらないですか」
「食べものと飲みものだけ買いますね」
こう言ってそういったものだけ買ってだった。
吉原は山に入ったが。
暫くしてだ、別の登山客中年の大柄な男に真剣な顔で言われた。
「おい、暫くここでじっとしてるんだ」
「どうしたんですか?」
「さっき熊が見えたんだ」
「熊ですか」
「ああ、ここはじっとしてやり過ごすんだ」
こう言うのだった。
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