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第一話 開幕その十二

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「以前お話した通りに」
「私は地の龍なのね」
「地球を再生する」
「人間を滅ぼしたうえで」
「うん」 
 牙暁は答えた。
「そうだよ」
「そうなのね」
「貴女、八頭司颯姫さんは」
 少女の名前も呼んで話した。
「明日の朝自転車で登校するね」
「いつもそうしているわ」
 颯姫は落ち着いた声で答えた。
「自宅からね」
「帰りに横に車が停まり」
「そうしてなの」
「庚さんが出られるので」
「共に行けばいいのね」
「ご家族tのお話は庚様が都合よく説明してくれるから」
「わかったわ。両親に思うことは何もないし」
 颯姫は無表情で答えた。
「これでお別れでもね」
「いいんだね」
「お父さんもお母さんも私を天才と言うけれど」
「それだけだね」
「道具みたいに扱うだけだから」
 それでというのだ。
「もうね」
「どうでもいいんだね」
「私はその庚さんのところにいても」
「構わないね」
「ええ、ではね」
「これからだね」
「地の龍の一人として生きるわ」
 牙暁に対して約束した。
「そうするわ」
「それではね、またね」
「ええ、また会いましょう」
 颯姫は夢の中の空間に座っていた、その上で前に座っている牙暁に応えて話した。そうしてであった。
 彼が去るのを目で見送った、それからは夢の中で過ごした。
 牙暁は彼の夢の中にいた、すると。
 そこに白い極めて短いひらひらしたスカートと黄色いセーターを着た明るい顔立ちの黒いショートヘアの少女が着て陽気に言ってきた。
「はじめましてね」
「貴女は」
「北都。皇北都よ」
「皇・・・・・・」
「わかるわよね」
「天の龍の一人の」
「そう、昴流ちゃんの双子の姉よ」
 北都は自らこのことを話した。
「宜しくね」
「死んでも」
「そう、魂はまだね」
「この世にあるんだ」
「そしてね、実はね」
「あの二人のことを」
「ずっと気になっているから」
 夢の中、海岸で一人立ってたたずんでいる牙暁のところに空を飛ぶ様に来てそのうえで笑顔で話した。
「それでよ」
「この世に残って」
「貴女の夢の中に出て来たのよ」
「それは何故」
「貴方運命は一つだって思ってるでしょ」
「正確に言えば二つ」
 牙暁は悲しい顔で俯いて答えた。
「あるよ」
「人間が救われるか世界が滅びるか」
「彼女達のそれぞれの」
「丁さんと庚さんのね」
「二つに一つ。その中で誰が死ぬことも」
「いずれかの未来でね」
「わかっているよ」
 こう北都に答えた。
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