第二章
[8]前話
「あの人の作品評価高いんだ」
「アウトサイダーアートらしいな」
「そっちで評判らしいぞ」
「どうもな」
「そうらしいぞ」
「そうなんだ」
ネットでの議論にそうなのかと思った、そして実際にだった。
彼の作品はアウトサイダーアートの一環として評価され評判になった、作品は世に出るとすぐに高額で売れてだった。
ネット上でも評判になった、それでだった。
入間もその話を聞いて凄いのかと思った、だが彼の絵がどういいのかはどうしてもわからなかった。
「いいのかな」
「だからそれは人それぞれでな」
「感性の問題でな」
「わからなくてもな」
「それは仕方ないさ」
「そうなんだね、まあそういうものだって思うよ」
結局はこう考えて納得した、入間にとって彼の絵は不気味で怖いものでしかなかった。そう思うだけだった。
だがある日だ、ユーチューブの動画で。
彼のことが紹介されていて本人が登場すると聞いて観てみると。
「なっ・・・・・・」
「はじめまして」
何と上品な着物を着た如何にも古い家のお嬢様という感じの若くて奇麗な女の人が出て来た、仕草もおしとやかでだ。
整った顔立ちと黒く長いセットした髪の毛が印象的だ、そして話す言葉は礼儀正しくて穏やかでまさにお嬢様だった、それでだ。
このことに衝撃を受けてだ、入間はネット上で見付けた彼女の出身校である美大の人にこの動画のことを話すと。
その人はだ、こう彼に話した。
「あの人そうだよ、凄く礼儀正しいね」
「お嬢様なんだ」
「いつも着物で穏やかで優しい」
「そうした人なんだ」
「美大でも美人で評判なんだよ」
「ああした人がああした絵を描くんだ」
入間は驚きを隠せない顔で述べた。
「信じられないよ」
「信じられなくてもな」
それでもという返事だった。
「そうした人なんだよ」
「ううん、本人さん観て余計にわからなくなったよ」
彼女の芸術がとだ、兎角こう言うばかりだった。
結局入間はそのアートのことはわからなかった、アウトサイダーアートと言われてもピンとこなかった。だが世の中にはそうしたこともあることはわかった、理解出来ない芸術がありそして思わぬ人がそうした芸術の親であることがあることを。それで納得してそれからも彼ではなく彼女の絵を観ていった。
アウトサイダーアートとのこと 完
2022・12・18
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