第二百七十二話 戦に向けてその一
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第二百七十二話 戦に向けて
文献を読み終えるとだった。
幕府も帝国もクトゥルフについて得た知識を理解しやすい様に編纂して一冊の書にしたうえでだった。
東西の浮島に広く配った、それはさながらだった。
「聖書でござるな」
「そんな風だな、本当に」
久志は智の指摘に応えた。
「これだけ配るとな」
「まさにそれぞれの教会や神殿に一冊ずつでござる」
「それだけ印刷してな」
そうしてというのだ。
「配ってるからな」
「その域でござるな」
「金もかかったぜ」
久志は笑ってこうも言った、今彼等は久志と英雄だけでなく全ての者がローマの宮殿の円卓に座って話をしている。
「結構以上にな」
「書を印刷して多く作るだけでもござる」
「ああ、金がかかるな」
「書一冊で財産でござるよ」
そこまでの価値があるというのだ。
「だからでござる」
「多く作るとな」
「お金がかかるでござる」
「何でもなくはないな」
「そうでござる」
「昔は本が高かったぜよ」
当季はこのことをはっきりと述べた。
「まっことのう」
「だよな、この世界に来てな」
「そのことを実感したぜよ」
「これまでは聞いてただけれどな」
昔のことをだ。
「この世界だとな」
「書はまだまだ高価ぜよ」
「そう持てるものじゃないからな」
「それで沢山作って配れば」
それぞれの教会それに神殿にだ、東の浮島では神社や寺になる。
「もうな」
「学校をかなり建てる位にぜよ」
「金がかかったな」
「そうなって当然ぜよ」
「そうだよな、だから貸本屋なんてあるな」
久志はこの商売のことも話した。
「こっちの世界じゃ」
「そして図書館もあるぜよ」
「その貴重な財産を保管する為にな」
「あるぜよ」
こう久志に話した。
「そういうことぜよ」
「そうだよな」
「しかし金をかけて」
「その価値はあるな」
「そうぜよ、クトゥルフのことを民まで知れば」
自分達だけでなくというのだ。
「兵達は言うまでもなく」
「それだけ力になるからな」
「敵を知ることはそれ自体が武器でぜよ」
「力だ」
「だからぜよ」
それ故にというのだ。
「東西の浮島のモン全員がクトゥルフを知れば」
「俺達の共通の敵をな」
「誰もが対応出来てぜよ」
「しかも敵が誰かわかってな」
「まとまるぜよ」
「その効果もあるな」
「だからぜよ」
それ故にというのだ。
「金をかけたかいはあるぜよ」
「絶対にな」
「無駄金じゃなかとよ」
香織も言うことだった。
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