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第一話 開幕その六

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「働いているわね」
「今も尚」
「そうすることがよ」
 まさにというのだ。
「私は憎くて仕方ないから」
「あの方もですね」
「そう、だからね」
「人間を滅ぼして」
「姉さんをね」 
 そう呼ぶ相手をというのだ。
「絶望に落としてあげるわ」
「そうお考えですか」
「いつも言ってる通りにね」
「それは本心でしょうか」
 牙暁は語る庚に問うた。
「果たして」
「ええ、本心よ」
 やはりほんの一瞬だった。
 目を左にやってだ、それから牙暁にまた話した。
「私はその為によ」
「動かれますね」
「同じ姉妹なのに姉さんばかりよ」
「持て囃されていますか」
「ええ、そうしてね」
 それでというのだ。
「私はずっとよ」
「ないがしろだったと」
「そうだったから」
 顔を歪めさせて話した。
「幼い頃からの恨みを晴らす為にも」
「人類をですか」
「滅ぼすわ、そして地球はね」
「再生しますね」
「そうなるわ、地球は泣いているわ」
 自分達が今いるこの星はというのだ。
「人間達に散々傷付けられて」
「その地球を救う為に」
「私は動いていて」
「全ての地の龍を集めますね」
「そうするわ、ではね」
「いよいよですね」
「本格的に動くわ」 
 こう言うのだった。
「天の龍も動きはじめたから」
「そうですか、ただ人間の力をどう思われますか」
 牙暁はここで庚に問うた。
「大きいか小さいか」
「決まっていわ、小さいわ」
 庚は嘲笑を以て答えた。
「人間はね」
「そうですね」
「何十億いても」
 そうであってもというのだ。
「所詮はね」
「そこに答えがあります」
「答え?」
「はい、小さな人間が何十億いてもです」
 それでもというのだ。
「小さな力なら」
「どういうことかしら」
「やがておわかりになります」
 庚もというのだ。
「必ず」
「今はわからなくてもなのね」
「はい、そして僕はです」
 悲しい顔で俯いて述べた。
「貴女は嘘吐きだと思っています」
「私が?」
「はい」
 そうだというのだ。
「その様に」
「嘘を言う必要があるのかしら」
「あるからこそです」
 それ故にというのだ。
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