第一話 開幕その二
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「嵐様が戻られることをです」
「待っていてくれますか」
「はい、ご検討を。そして」
「生きてですか」
「お帰り下さい」
「出来る限り」
その少女鬼咒嵐も応えた。
「その様にします」
「約束してくれますか」
「はい」
静かだが確かな声での返答だった。
「そうさせて頂きます」
「それでは」
「行って参ります」
正座した姿勢で深々と頭を下げてだった。
嵐も旅立った、そうして。
黒く短い髪の毛の青年、白を基調とした陰陽師の服を着た青年が京都で年老いた老婆に対して話していた。
「ではこれより」
「戻られますか」
「そうします」
青年は着物の老婆に穏やかな声で答えた。
「今度は天の龍として」
「そうですか、そして」
「はい、おそらくですが」
「ご当主と過去共におられた」
「あの人ともです」
「会われますか」
「あの人もおそらく運命の中におられます」
青年は老婆に答えた。
「それもです」
「地の龍ですね」
「そのお一人なので」
だからだというのだ。
「僕もです」
「東京に行かれ」
「あの人にお会いします」
「そうされますか」
「はい、そして」
青年はさらに話した。
「この世界も」
「護られますか」
「そうしてきます」
こう和した。
「必ず」
「ほな。ご当主いえ昴流さん」
老婆は自身の孫でもある皇昴流に話した。
「ご達者で」
「帰ることはないでしょう」
「いえ、帰る未来もです」
「ありますか」
「はい」
そうだというのだ。
「運命は決まっているのやなくて」
「多くですか」
「ありますので」
それでというのだ。
「その中にはです」
「僕が生き残る未来もですか」
「あります」
こう話すのだった。
「そうですさかい」
「ここにですか」
「戻って来る未来もです」
それもまたというのだ。
「あります」
「そうだといいですが」
「くれぐれもご自重を」
老婆は昴流に話した。
「何があろうとも」
「ですが世界を救うには」
「それでもです」
「自分を大事にですか」
「されて下さい」
こう言うのだった。
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