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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(13)〜基地主戦陣地攻防(下)〜
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 だが、ラインハルト准将の言葉は負け惜しみというよりも純軍事的に見れば正論であった。基地を破壊するのであれば軌道爆撃でよく、占領するにはこの星系はあまりに不向きである。本来の常備軍の艦隊であれば威力偵察を仕掛けた後はせいぜい軌道爆撃と陸戦隊と交渉をブレンドしたもので降伏を狙うか撃滅するかの二択であっただろう……会戦の最中であるからには艦隊戦に注意の大半が払われていた上で。

 皇帝の友誼厚き半隠居があてがわれた予備役部隊に経費削減を売り込んでおこぼれを狙った辺境非主流派領主貴族達が混ぜ込められた、グリンメルスハウゼン艦隊であるがゆえに起きた陸戦。すなわち艦隊の消耗を嫌がり、練度が低く、それでも手柄を求めた”採算”を求める軍隊であった。
 ”縦深”の同盟弁務官や軍参謀部が想定した攻撃はイゼルローン要塞攻略の鍵となる4=2基地の占領と情報の奪取という野心的奇襲、彼らが行ったのは真逆の場当たり的攻撃だった。
 ラインハルト・フォン・ミューゼルはこの全てが食い違った戦場を見届け「ここはいるべき場所ではない」と結論した。それは幾つかの面において正解であった。



 敵の意図はどうであれ自由惑星同盟軍常備地上軍(レギュラーズアーミー)にとってはまぎれもなく大勝利である。
 勝利した者たちは常に連帯のために勝利を誇り吠え立てる。共通の敵に対する勝利を。

「天帝よ照覧あれ!天道は大夏に在り!」

「「アスターテ万歳!ティアマト万歳!!我らの帰還にまた一歩!」」

「「革命万歳!!ヴァンフリート万歳!!くたばれルドルフ!!」」

「くたばれ貴族ども!」

「くたばれ帝国人!」

「「くたばれ追い剥ぎども!くたばれ奴隷狩り共!!」」
 基地の中で喝采を上げる彼らは兵の一人にまで暖かなシチューと豪勢な焼き立てパンが用意されている。


 セレブレッゼは司令官の席に崩れ落ちるように座り込んだ。

「構成邦の紳士諸君は何を騒いでいるんだ。勝鬨にも品格がある。彼らは貴族という社会階級を恐れているのか?それとも生まれ落ちた土地の違いで憎悪を向けているのか?不健全な思考を生む」

「閣下は反戦派ですか?」

「私は自由党支持者のバーラト育ちだ‥‥そういわれることも時にはあるが、自由党は根本はハイネセン主義、統制に反対しようと圧政にはなお反対する。何事も相対的なものだな」

「帝国軍……貴族どもが主ですが、連中は自領の為に奴隷狩りと私掠を、“ダゴンの接触”以来絶えず今日まで続けて来ました。交戦星域の者達にとって帝国軍とは、自分らとは全く別種の、恐怖の象徴であり言葉の通じぬ怪物なのです」

「なるほど、ここは国の境なのだな。今更ながらそれを理解したよ。何にせよ、我々は自由惑星同盟の国民軍である限りは―
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