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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(13)〜基地主戦陣地攻防(下)〜
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はあるまじき喜悦の声を上げた。
『‥‥‥敵単座戦闘艇に攻撃!後続母艦が大気圏に侵入!』
『識別信号 青・青・青! 友軍です!続けて文書通信!』
『ワレ第五艦隊、遅レテスマヌ』
拡大された光学映像越しに映るのは大気圏外から十隻程の航宙母艦、弱点の『どてっぱら』から次々とスパルタニアンが飛び立ってゆく。それだけで基地防空部隊の数倍の数の戦力となる。
そして最後に航宙戦隊旗艦『ダーサ・アルバレス』より飛び立つ100機のスパルタニアンが帝国軍に襲い掛かった。
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基地防衛陣地の帝国軍の後退は迅速であった。自由惑星同盟宇宙軍陸戦隊出身のリューネブルクも私掠艦隊指揮官であるエルビング男爵も、こと『敗ける』ことには手馴れていたのだ。
「ハァーッ!ハァーッ!」
エルヴィング達が退き、シェーンコップは装甲服の酸素濃度を疲労回復モードに切り替える。
エルヴィング男爵……古代ノルド戦斧術、油断のならぬ強敵であった。肩の装甲が抉られている。あの時あえて踏み込む咄嗟の状況判断がなければ肩を切り裂かれていただろう。
「ひとまず俺たちの出番は終わりか」
通信妨害も軽減されたのか、徐々に回復しつつある。
……劇的なシーンであった。護衛役のスパルタニアンに守られた対艦攻撃装備のスパルタニアンが高出力レーザーで文字通り『敵陣を切り裂いて』いく。
とはいえどうせ長くは続かない光景だ。敵艦隊は大量のワルキューレを繰り出すに決まっている。だが4=2の戦いは終わったのだ。それは『ヴァンフリート星域会戦』の主役。星間艦隊戦へとグリンメルスハウゼン艦隊が”狩りだされた”ことになるのだから。
ワルキューレは艦隊が宇宙へと出るために運用されることになる。
軍事的に見るとこの乱入よりも900隻の艦隊が機雷を撒き、グリンメルスハウゼン艦隊をこの惑星に封じ込めようとし始めたことの方が決定的であったが。勝利したことは間違いない。
「俺たちの陸戦隊は後退した部隊の収容に専念する。増援の単座戦闘艇部隊との連携を密にせよ、どの道、宇宙に上がるためには護衛役が必要だ」
「ラインハルト様、ただ退くだけでは――」
親友の言葉をラインハルトは手を軽く振って遮った。
「キルヒアイス、俺たちの本命は艦隊戦だ。その出番は必ず来る。俺たちの直卒兵力の損耗はさける。それでいい」
ラインハルト・フォン・ミューゼルは深呼吸をすると親友に怜悧な悟性を宿した目を向け語った。
「ここで何が起ころうと俺の敗北ではない。ここで俺が敗北しているのは、俺が俺の主でない事だけだ。自分で状況を決定づけられる艦隊戦こそが俺の本懐だ、それが分かっただけでも良しとしよう。俺が今敗北しているのは姉上があそこにいる限りは、多かれ少なかれ続く敗北の延長であろう」
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