魔法使いでありんす
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私のことを忘れてない?」
そう。
変化が大きいウィザードに気を取られ、少女、可奈美がいなくなっていたことに一切気付けなかった。
背を低くしてブラウニーの槍を切り上げた可奈美。よく見れば、周囲にあれだけ展開していたグールたちがいなくなっていた。
「まさか、あれだけの数のグールたちを、たった一瞬で倒したっていうんでありんすか!?」
驚きながらも、ブラウニーは力一杯槍を振り下ろす。
だが、可奈美は見事な動きでブラウニーの槍を紙一重で避ける。それどころか、彼女の刃がブラウニーの胸元を切り裂いた。
「ぐあっ!」
怯んだブラウニー。
さらに追撃として、上空から着地してきたウィザードの剣がブラウニーを盾に切り裂く。
「ひ、ひいいいっ!」
悲鳴を上げるブラウニー。
続いて、ウィザードはウィザーソードガンに取り付けられている手の形をしたオブジェを開いた。
掌部分に刻まれた魔法陣が光を放ちながら、それはまた他と同じく詠唱を開始した。
『キャモナスラッシュシェイクハンド キャモナスラッシュシェイクハンド』
「ま、また何かするつもりでありんすね……こ、こうなったら……!」
ブラウニーは、ウィザードと可奈美を同時に指さす。
すると、途端に二人の動きが止まった。
あたかも金縛りを受けたかのように、指一本動くことが出来なくなる。
かかった、とブラウニーは笑む。
「ほいっとでありんす!」
ウィザードに向けた指を可奈美へ、可奈美に向けた指をウィザードへ移し替える。
すると、二人の体が少しだけ浮かび上がった。
まるで幽体離脱のように、ウィザードと可奈美から、それぞれの姿___ウィザードの場合は変身者である松菜ハルトだが___が、透けた状態で浮かび上がる。まさに幽霊のように浮く二人の霊体は、そのまま円を描くように、魔法使いのものが刀使へ、刀使のものが魔法使いへと憑依していく。
「よし、成功でありんす!」
「待て!」
可奈美・・・の声を無視しながら、ブラウニーは近くの建物、その屋上に跳び乗る。そのままブラウニーは、ウィザードたちを一瞥することなく飛び去って行った。
「逃げられちゃったね……」
ウィザード・・・・は呟き、その体が赤い魔法陣によって包まれていく。
それは、変身解除。松菜ハルトの姿に戻り、腰に手を当てた。
「それにしても、槍術かあ……中々見ないけど、でも、剣術とも似ているところがあって面白いね!
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