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ファイアーエムブレム聖戦の系譜〜選ばれし聖戦の子供たち〜
第一章:光をつぐもの
第5話:愚王の末路
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で息をしている。高い城壁である。城の規模も壮麗さも他のイザーク城とは比較にならない。ダナンの生まれ故郷ドズル城に似せて造らせた城である。建造には多くの民の犠牲があった。イザークの王都として知られている。その城壁の前で王は忌々しげ戦場の方を見た。
「くそっ!このわしがあの小僧の寄せ集めの軍に負けたというのか」
 夕日の中汚れきった顔を橙に照らし出され王は悔しさと怒りの入り混じった表情を浮かべている。その時だった。
「遅かったな、ダナン」
 城壁の上から声がした。そして顔を見上げたまま王は言葉を呑んだ。城壁にはドズルの旗ではなくシアルフィの旗に変わっていた。そして城壁の上に立つように緑の髪をした白面の男がいた。
「お、お前はレヴィン!」
「リボー城は陥落した。貴様の部下たちも全て処刑したぞ。残るのは貴様だけだ」
「くっ・・・・・・」
 城壁に背を向け王は別の方へ逃げようとした。
「逃げられんぞ」
 レヴィンが声をかけたその時、ダナンの前に現れた者たちがいた。解放軍であった。セリスやオイフェを始めとした解放軍の主だった将兵たちもは全員いた。その中にはヨハンとヨハルヴァもいた。
 ダナンはヨハンに向かって口から泡を飛ばしつつ口汚く罵る。
「くっ、ヨハン・・・つまらぬ女に騙されおって!」
 それを見てヨハンは言い返した。
「ふっ・・・私は愛に生きると誓ったのだ。許せよ、父上・・・」
「ば、馬鹿め・・・」
 ヨハンと同じようにヨハルヴァにも向かって口汚く罵った。
「貴様はヨハルヴァか!親に楯突くとは一体どういうつもりだ!!」
 それ見たヨハルヴァも言い返した。
「すまねえな、だが俺は悪事に手を貸すのはまっぴらなんだよ。親父、悪く思うなよ」
「く、くそ・・・ヨハルヴァ!」
 完全に逆上していた。その時セリスが前に出てきた。
「き、貴様はシグルドの小倅か!く、くそ!我が父上の恨み、思い知らせてくれる!」
「ダナン王・・・あなたの支配によって、多くの人々が苦しみ、死んでいった。今こそ、その報いを受けるときだ!」
 と言った後は剣を抜いた。しかしそれを城壁で見ていたレヴィンが止めた。
「よせ、セリス。こいつは私が殺る」
 城壁の上から飛び降り足を折り曲げ手を地に付け着地した。その姿を見てフィーは声をあげそうになった。
「私が貴様の相手になってやろう。久々の実戦になるしな」
「くっ・・・・・・」
「どうした?自首するか?それもいいだろう。せめて最期は王らしく死ね」
「ぬ、ぬおおおおおっ!」
 レヴィンの挑発にキレた王は斧を振りかざしレヴィンへ突進した。レヴィンは眉一つ動かさずそれを冷静に見ていた。
「馬鹿が」
 一言呟くと右手を肩の高さに挙げた。二つの影が交差した。レヴィンは風のマントを靡かせながら不動の姿勢だった
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