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ファイアーエムブレム聖戦の系譜〜選ばれし聖戦の子供たち〜
第一章:光をつぐもの
第5話:愚王の末路
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その指揮たる体制は支離滅裂であり、矛盾する命令を乱発し、戦局をさらに混乱させていくばかりであった。
「くそっ・・・おのれ、反乱軍共め!グランベル帝国を甘く見るな!」
解放軍は本陣のすぐ前まで近づいてきた。激しい戦闘がダナンの前で繰り広げられている。
「くっ、忌々しいがここは撤退だ」
王は呻くように言った。
「馬を持て。わしは先に城へ帰る。お前たちはここで足止めしろ」
「陛下、いくら何でも王が臣下を見捨てるなどは・・・ぐうっ!」
将校の一人が口から血を吐き出し倒れた。
「貴様らはわしのためだけに戦えばいいのだ。主のために死ねるのだから本望だろう」
「・・・・・・・・・!!」
その言葉に絶句する斧騎士団の将校たちを尻目に王は馬に乗り一目散に城の方へ駆けて行った。主君のあるまじき卑劣な行いに斧騎士団の騎士たちは顔面蒼白になっていた。ただガルザスだけが平然としていた。
「ガルザス殿、どういたしましょう」
ガタガタと声を震わせながら騎士の一人がガルザスに問う。彼はその鋭い濃紫の瞳を解放軍に向けたまま重く低い声で言った。
「知れたこと。戦うまで」
さらに言い続けた。
「どうせいずれは死ぬ身。今ここで俺にとって別にそういうことはない」
言い終わると背中にある鋼の大剣を抜きつつゆらりと解放軍の方へ向かった。
目の前で解放軍の戦士たちが縦横無尽に剣を振っている。その中にマリータの姿があるのを彼は認めた。
「・・・・・・・・・!」
小さい身体を素早く動かし敵をやっつけていく。それを見てガルザスは足を止めた。
(ここに来ていたのか)
ガルザスは誰にも気づかれぬほどではあるが親が子を見るような優しい眼差しでマリータを見た。
(まだまだ未熟だが立派になったな。まさか生きているとは・・・)
ガルザスは足を完全に止め後ろの騎士たちの方へ向き直った。
「気が変わった。俺は解放軍につく」
「ええっ!?」
騎士たちはあまりの衝撃で皆一斉に驚いた。だがそれに対しガルザスは構わず騎士たちに言った。
「これから先はどうするのか自分たちで考えろ。戦って死ぬもよし。降って生きるもよし」
さらに言い続ける。
「だがあの王のために死ぬのが望みであるまい。ダナン王とセリス公子、どちらが主とするに相応しいかわかっているはずだ」
「どうしてもセリス公子に仕えたくないというのならヨハン王子、ヨハルヴァ王子の下に行けばいい。あの二人は多少変わってはいるが根はいい奴らだ」
騎士たちは俯き思案の表情を浮かべていた。
「と言っても結論は出ているだろう」
ガルザスの言葉に騎士たちは俯き皆一斉に武器を地に捨てた。
部下たち捨てて逃げ出したダナンは居城リボー城の城壁すぐ側まで来ていた。馬は乗り潰し徒歩である。汗と砂塵にまみれ肩
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