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ファイアーエムブレム聖戦の系譜〜選ばれし聖戦の子供たち〜
第一章:光をつぐもの
第5話:愚王の末路
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一つしなかった。そして隣りにいる主君に命令を言った。
「今です」
 それに対しセリスは黙って頷いた。そして大きく手を挙げた。
「撃て!」
 弓を下へ向け一斉に放たれる。矢を身体に受けた兵士たちがもんどり打って落馬する。
「悪いね!」
 タニアは自分の身体半分以上はある鉄の弓を思い切り引き絞り矢を放った。矢は一人の騎士の胸を貫きその騎士は地に落ちた。二本目が別の騎士の額に直撃する。
 ロナンは鉄の弓で矢を放す。恐ろしいほど正確に一人また一人を倒していく。見事な腕前である。
 解放軍の強力な弓の一斉射撃に斧騎士団は怯んだ。だがすぐに体制を立て直し再度攻撃を敢行した。
 その時だった。解放軍の陣地から丸太が次々と放り出された。丸太は馬の脚を潰し地に落とす。
「くっ、小癪な・・・」
 イザーク軍の動きが再度止まった。空には巨大な影が現れた。
「ドラゴンナイト!」
 騎士の一人が声を張り上げた。数こそ少ないが一騎当千と謳われたトラキア王国の象徴と言える存在である。
「行くぞエダ!」
「はい!」
 ディーンがエダを連れて急降下する。ディーンのドラゴンランスが敵兵を貫く。彼はそれを横に払うと別の兵士を縦に両断した。
 エダは鋼の槍を手に眼下の敵に急降下した。敵兵は槍で喉を貫かれ鮮血を巻き上げる。すぐに槍を抜き出し彼女は急降下する。
 竜騎士兵たちが離れると再び矢の雨が敵兵を襲う。それが止めばまた竜騎士たちが降りてくる。
「将軍、どうなされます!?」
 一人の将校がなおも戦闘で指揮を執るシュミットに問うた。
「ぐうう・・・・・・」
 シュミットは苦悶と憎悪さが混在した眼差しで、解放軍を睨みつけた。答えは一つしかない。しかしそれは誇り高き斧騎士団にとって耐え難いものであった。だが彼は命令を下した。
「全軍退却!」
 シュミットの号令一下で斧騎士団は迅速かつ整然と撤退した。追いすがる斧騎士団を振り切り傾斜を下っていく。
「追いますか?」
 オイフェの問にセリスは頭を振った。
「いや、止めておこう。それよりこちらの負傷兵や負傷して戦場に取り残された敵兵や馬を手当てしなければならない」
「了解」
 セリスの命で負傷した斧騎士団団員やその愛馬が助けられ治療された。兵士の中にはそのことに感激しその場で解放軍に加わる者もいた。
「見ろあれを!」
 負傷した兵士を方に担ぐダグダが下のリボー平野に指差した。そこにはイザークの大軍が集結していた。その中心には親衛隊の制服でドス黒くなっておりドズルの大旗が掲げられていた。

「愚か者が!あの小僧共に何を手こずっておる!!」
 豪奢な絹で張られた大きな天幕の中でダナンが銀の杯をシュミットに投げつける。将軍はあえて交わそうとはしなかった。杯は将軍の額に当り血が顔に伝わった。
 鹿の
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