異伝〜奥義伝承の試し〜
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同日、PM10:20――――――
〜グランセル城前〜
「あれが”グランセル城”か………カシウス中将に”八葉”を師事してもらったエリゼは来たことがあるのか?」
「いえ、私が師事してもらった際の場所はいつも”レイストン要塞”でしたから、グランセル城に来たのはこれが初めてです。」
「―――――フフ、来てくれたようだな。」
リィンとエリゼが興味ありげな表情でグランセル城を見つめながら会話をして歩いているとグランセル城の前で待機していたカシウス中将が二人に近づいてきた。
「ええ、エステルから話を聞きまして。――――――お初にお目にかかります、カシウス・ブライト中将閣下。エリゼに”八葉一刀流”を師事して頂いたお礼が遅くなり申し訳ございませんが、改めてお礼を言わせて下さい。――――――大切な妹が”剣聖”に到るまで育てて頂き、ありがとうございます。」
「なに、彼女が短期間で”剣聖”に至ったのも彼女の努力と才能の賜物だ。」
「恐縮です。」
リィンに感謝されたカシウス中将は苦笑しながら答え、カシウス中将の言葉にエリゼは謙遜した様子で答えた。
「それに礼を言うべきは私の方だ。――――――君のお陰でリベールは最小限の被害でエレボニア帝国が総力を挙げたリベールへの侵攻を防ぐ事ができたのだからな。それにそもそも軍の階級で言えば君の方が私よりも上官にもなるのだから、そんな畏まった態度を私に取る必要はないぞ、”リィン将軍閣下”。」
「う”っ。そ、その……公式の場は仕方ないにしても、こういった私的な場では自分の事は呼び捨てで呼んで頂きたい事もそうですが、態度もエリゼと同じにして頂きたいのですが……」
静かな表情で答えた後からかいの意味も込めて口元に笑みを浮かべたカシウス中将の最後の言葉に唸り声を上げたリィンは謙遜した様子で答えた。
「フフ、そうか。ならば、遠慮なく今は”兄弟子”の態度で接させてもらおうか、”リィン”。」
「ありがとうございます。でしたら、俺の方も”弟弟子”として接させて頂きます、”カシウス師兄”。――――――それで俺に話とは何なのでしょうか?」
「―――――話というのは他でもない。ユン老師からの手紙についてだ。」
「ユン老師がカシウス師兄に手紙を……!?」
「老師様からの手紙の件で兄様を呼び出したという事は、もしかして手紙の内容は兄様に関係しているのでしょうか?」
カシウス中将が語った驚愕の事実にリィンが驚いている中目を丸くしたエリゼはある事を察し、カシウス中将に訊ねた。
「ああ。――――――二人も知っている通り、八葉では最初の段階で全ての型の基礎を叩き込まれるのが習わしだ。その意味で老師の下を離れた時点で”
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