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展覧会の絵
第十五話 ユーディトその十一
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「それで」
「彼女のお家のことはわかるよね」
「当たり前だろ。子供の頃からしょっちゅう遊びに行ってたんだ」
「そう。じゃあ隅から隅までだね」
「これでも子供の頃は一緒に風呂にだって入ったんだ」
 問われていないことまで言う望だった。
「だから本当にな」
「わかるんだね」
「わかるさ。それであいつは何処にいるんだよ」
「おそらくだけれど」 
 この部屋に来るまでに聞いたことをだ。十字は話した。
「お風呂場だよ」
「その風呂場かよ」
「急ぐんだ。いいね」
「ああ、わかった」
「今行けば充分に間に合うよ」
 着替え終え部屋を出ようとする望に告げた。
「だからね」
「ああ、行くからな」
 こう応えてだ。望は自分の部屋を出た。そして玄関も出て春香の家、彼の家から見てすぐ傍にあるその家に向かった。その家の玄関をすぐに潜り抜けて。
 そのうえで一階の奥、暗がりだが望には関係なかった。まさに自分の家と同じ様にして春香の家の中を進んでいく。背中にいる希望には気付かなかったが。
 風呂場に入るとだ。浴槽にだった。
 春香が一糸まとわぬ姿でいた。暗い、灯りを点けていない部屋の中の浴槽にいる。その右手からは血が流れていて暗い部屋の浴槽の中は朱に染まろうとしていた。
 その春香を見てだ。望はすぐに駆け寄った。そして。
 春香を浴槽から、自分が濡れるのも構わず引き出して言った。
「馬鹿、何やってんだよ!」
「望、どうしてここに」
 春香はここでようやくだった。望に気付いた。自分を抱き締めている彼に。
「いるの?」
「御前がメールしてきたんだろ、さよならって」
 十字のしたことをだ。彼は春香がしたと確信していた。
「だから来たんだよ」
「私がメールを」
「そうだよ。それで来たんだよ」
 死んだ目になっている春香にだ。望は必死に言っていく。
「御前、何でこんなことしたんだよ」
「何でって」
「死ぬつもりだったのかよ」
「私のこと。知ってるわよね」
 春香は光のない目で望に答えた。
「あのこと」
「あのことかよ」
「やっぱり。知ってるのね」
「知ってるさ。俺だってな」
「御免なさい、私・・・・・・」
 弱い目から、春香がこれまで望には一度も見せたことのないその目から涙を流していく。その涙のままだ。春香は望に対して言っていくのだった。
「望のことが。けれど」
「だから俺もだ。けれどな」
「けれど?」
「もうあんなことはしない。だから御前もするな」
「許してくれるの?私のこと」
「許すも許さないもあるかよ」
 望は強い口調で春香りに告げた。
「御前俺のことが好きなんだな」
「ええ・・
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