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展覧会の絵
第十五話 ユーディトその十
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「ずっと。子供の頃から一緒でな」
「そして君は彼女のことがだね」
「気付いたんだよ、よりによってあの時にな」
「そうだね。そして彼女もね」
「あいつも?まさか」
「言ったじゃないか。彼女は君のことが好きなんだよ」
 痴態を晒しながらも言った、その言葉を今望の前に出した。
「身体はどうであれ心は」
「嘘だろ、そんな」
「彼女を疑うのかな」
 十字の言葉を否定しようとする望にだ。十字はさらに言った。
「君が彼女のことを一番よくわかってると思うけれど」
「幼馴染みでずっと一緒にいたからかよ」
「彼女はどんな娘かな」
「あんなことになってもな」
 だがそれでもだと。望は腹の奥底から出した言葉で答えた。
「あいつは。心だけは」
「そうだよね。そんな娘じゃないね」
「だからかよ」
「今すぐ行くんだ。携帯の音が鳴ったよ」
「えっ?」
「君の携帯がね」
 望の携帯は彼の机の上にある。黒い携帯だ。
 その携帯が確かに鳴っていた。ただそれを慣らさせたのは十字だった。見れば彼のその手には彼の携帯がある。しかしだったのだ。
 十字はそうしてからだ。また望に言ったのだ。
「鳴ったよ。彼女からだよ」
「一体何なんだよ」
「見てみるといいよ」
 まだ毛布を被っている望に言ってだ。彼からだ。 
 望の携帯を取って彼の前に出した。それと共にだ。
 望の耳元に来てだ。こう囁いたのだ。
「彼女からのメールだよ」
「・・・・・・・・・」
 望は毛布から手を出した。そしてだ。
 自分の携帯を取ってそのメールを見た。見ればだ。
『さようなら』 
 こう一言書いてあった。その言葉を見て望は死んでいた目を少し生きさせた。
 そしてだ。こう言うのだった。
「まさか、これは」
「今すぐに彼女の家に行くんだ」
「そしてかよ」
「場所はお風呂場だね。そこに急ぐんだ」
「あいつ・・・・・・」
「君は彼女のことを大事に思ってるよね、今も」
「ああ」
 今は正直に答えられた。このことも。
「そうだよ」
「ではすぐに向かうんだ」
 こう望に言う。
「いいね、すぐにね」
「すぐに行かないと。かよ」
「彼女は本当に大変なことになるよ」
「俺があいつを助けるんだな」
「彼女を助けたいよね」
「当たり前だろ。俺はあいつのことが好きであいつも俺のことを」
「すぐにそこから出るんだ」
 今彼がいるベッド、そこからだといういのだ。
「そして彼女の家に向かうんだ」
「ああ、わかった」 
 ようやくだ。望も頷いた。そうして。 
 ベッドから出る。十字は音もなくその死角に入った。そこからまた言うのだった。
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