第二百七十話 禍々しさを知りその十一
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「果たして」
「それは難しいな」
「そうです、絶対の悪とはです」
「定義出来ないな」
「少なくとも私達はその考えですね」
「ああ、百人いれば百人の正義があってな」
「悪魔も然りです」
「正義があるな」
「神に対していても」
「悪とは限らないな」
「そして彼等には彼等の秩序があります」
それも存在しているというのだ。
「混沌とはしていません」
「悪魔を調べていたらしっかりした社会があるな」
「そうですね」
「悪魔の世界、魔界のな」
「法律やルールがあります」
悪魔にもというのだ。
「そうなっています」
「無政府状態じゃ絶対にない」
「それは他の宗教や神話も同じですね」
「悪とされていてもな」
「彼等には彼等の秩序があり正義があります」
「ディーヴァもアスラも神でござるな」
進太はヒンズー教の話をした。
「対立していても」
「アスラが悪となっていてもな」
「仏教では阿修羅でござる」
アスラはそうなっている、奈良の興福寺の八部衆の仏像の中にある三面六臂のあまりにも有名なそれである。
「かつては仏に逆らったでござるが」
「今は違うな」
「非常に強い仏でござる」
「確か多聞天もそうだったな」
久志は四天王の北を守るこの仏の名前を出した。
「確か」
「元はクベーラでござる」
「ヒマラヤの方の神様でな」
「アスラだったでござる」
「ヒンズー教で神様でな」
「仏教では仏でござる」
そうなっているとだ、進太も話した。
「まさに」
「そうだよな」
「そしてヒンズー教でアスラ神族は悪とされていても
それでもというのだ。
「先程順一殿が言われたゾロアスター教ではでござる」
「正義だったな」
「逆にディーヴァ神族が悪でござる」
「そうだな」
「それぞれの神族に秩序が存在し」
進太はさらに話した。
「社会があり悪意はです」
「ないな」
「キリスト教の悪魔も悪とされていても彼等には彼等の正義があり」
失楽園等を読み方を変えるとそれが感じられる、神に逆らう為悪であると定義しなければ悪魔というものは成り立たないところがある。
「秩序もあり悪意も」
「魂を売るんじゃなくて自分達の信者にすると考えると」
「ないでござる」
「そうなるな」
「しかし」
進太は神妙な顔になり一呼吸置いてから久志に話した。
「ラグクラフトの神々は」
「社会も秩序も何もなくてな」
「悪意に満ちているでござる」
「原始的で混沌としたな」
「そうした神々でござる」
「本当に他にいないな」
「珍しい神霊達でござるよ」
こう久志に話した。
「そして信仰もでござる」
「求めないしな」
「相当頭がおかしな者でもなければ」
「信仰しないしな」
「狂気に支配された様な
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