第四十四話 夏休みがはじまってその三
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「本物の漫画家さんよ」
「ずっと描く」
「何十年も休まず描いて」
尚このことは貸本時代からだった、その頃から描き続け倒れても作品が続いているのである。こうした漫画家も存在しているのだ。
「今もね」
「作品が続いているから」
「あの人もね」
「見習って欲しいのね」
「死んでも作品が続けとは言わないけれど」
普通はそれで終わるからだ、事実それで未完に終わっている作品もある。
「せめて真面目にね」
「描いて欲しいわね」
「ドラクエばかりしないで」
それでというのだ。
「描いて欲しいわ、面白いんだから」
「作品自体はそうなのね」
「そう、面白いのよ」
富美子はこのことを力説した。
「これがね」
「だから余計にそう言いたいのね」
「仕事しろってね」
「私達が高校卒業するまでには終わるんじゃないの?」
かな恵は考えずに言った。
「流石に」
「大学卒業しても終わってないでしょうね」
富美子は考えて返した。
「まずね」
「そうなの?」
「高校はたった三年よ」
それだけだというのだ。
「それで大学は四年よ」
「合わせて七年ね」
「七年位じゃね」
「あの作品は終わらないの」
「普通に描いたら終わっても」
それでもというのだ。
「さの作者さんだとね」
「そうはいかないのね」
「描けばストーリーは進むけれど」
「描かないと進まないわね」
「そうよ、描いたらほんの少しでも進むけれど」
それでもというのだ。
「描かなかったらね」
「進まないのね」
「一ミリもね」
「それはそうだけれど」
「あの人が七年ずっと描くなんて」
そんなことはというのだ。
「もう絶対って言っていいわ」
「ないのね」
「有り得ないわ」
それこそとだ、富美子は苦々し気に言い切った。
「若しそうだったらここまで言われてないわよ」
「そもそも」
「それでとっくによ」
「終わってたのね」
「そうよ、七年の間のどれだけ描くか」
「百話位?」
「いや、七十でもいったらね」
百どころかというのだ。
「かなりね」
「多いの」
「あの人についてはね」
「そうなの」
「だからあと七年で終わるとか」
自分達が大学を卒業するまでというのだ。
「留年や浪人があっても」
「それでもなのね」
「終わらないわ」
「ううん、ある意味凄いわね」
「それがあの人よ」
「そこまで描かないのね」
「お身体壊して描けない人もおられるけれど」
漫画家の中にはだ、これは他の創作者も同じだ。
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