第七十七話 夏休みの勉強その十一
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「けれどな」
「全くないとなのね」
「救われないんだ」
そうだというのだ。
「ほんの少しでも何かあるとそこからよくなってな」
「何もないとなのね」
「どうにもならないんだ」
「ゼロコンマでもあるのと全くないのじゃ全然違うのね」
「そうだ、それが人間と餓鬼の違いだ」
「餓鬼はどうしても助からないんだ」
それこそというのだ。
「絶対にな」
「浅ましいままで」
「人間の屑と言うならそれだ」
まさにというのだ。
「屑のままなんだ」
「上本町の店員さんもビデオショップの店員さんも」
「どちらもな」
「何をしても更正しないのね」
「お父さんはそう思う」
間違いなくと言うのだった。
「どちらも雇っていたお店は潰れたしな」
「それが物語っていることかしらね」
「そう思うな、咲も」
「お話聞いてるとね」
どうしてもというのだ。
「思えるわ」
「そうだな、お父さんもそう思う」
父は娘の言葉に頷いて述べた。
「そんな人間を雇う方もおかしいしな」
「そこまで酷いともう更正もしない」
「そんなものだ、咲は人間でいて欲しい」
心からの言葉だった。
「だから今日の話は覚えておくんだぞ」
「そうするわね、そうした人を知ってなのね」
「反面教師とするんだ」
「そうはならないね」
「そうだ、餓鬼に役割があるというのなら」
それならというのだ。
「反面教師だ」
「それね」
「こんな連中は生きていてもな」
「何の価値もないわね」
「人の痛みや苦しみや悲しみをわからない、わかろうとしないなら」
それならというのだ。
「何の為の人生なんだ」
「そうよね」
「権力に反対していてもな」
例えそうした考えでもというのだ。
「その権力は国家権力なんだ」
「権力で国だけじゃないわよね」
「そんなのは何処にでもあるんだ」
権力はというのだ。
「会社の経営者も管理職もお店の店長さんもな」
「権力者よね」
「芸能界の大御所も学校の先生もマスコミもな」
「権力って色々ね」
「そんなものが何処でもあるんだ」
これも人間社会である、どの様な場所でも秩序と社会があり階層化もされ命令権も存在している。そして権力が発生するのだ。
「国家権力だけじゃない、それにテロやる連中がクーデター起こすとな」
「国家権力になるわね」
「権力持つ為にテロやって人を平気で殺す連中が権力を持ったらどうなるんだ」
「ナチスかソ連じゃない、それって」
咲は即座に答えた。
「そのままじゃない」
「そのナチスやソ連みたいな連中がテロをしていいって言うんならな」
それならというのだ。
「もうな」
「どうしようもないわね」
「そもそもそんな馬鹿から殺されるんだ」
そうなるというのだ。
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