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イベリス
第七十七話 夏休みの勉強その十
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「人はな」
「更正出来ないのね」
「人間なら更正出来るんだ」
 ここで父はこうも言った。
「けれど人間の底を割ってな」
「ええと、犬畜生じゃなくて」
「餓鬼になるとな」
 仏教で言う餓鬼道に至ればというのだ。
「もうな」
「どうにもならないのね」
「餓鬼は餓鬼なんだ」
 父は苦い顔で話した。
「人間じゃないんだ」
「人間だから更正出来るの」
「生きものでもな、しかし餓鬼はあまりにも浅ましくて卑しくてな」
 そうした者達でというのだ。
「だからな」
「更正もしないのね」
「そうだ」
 絶対にというのだ。
「その最底辺の腐りきった世界で碌なことをしないで生きているんだ」
「それだけなの」
「ああ」
 そうだというのだ。
「誰かが助けようとしてもな」
「それが通じないのね」
「それどころか不平不満や文句ばかり言ってな」
「感謝しないで」
「上がろうとしないんだ」
「だから更正しないのね」
「そうだ、更正出来たなら」
 それならというのだ。
「まだいいんだ」
「それなりのものがあるのね」
「本当に更正しない奴はな」
「最初からどうしようもないのね」
「どんな宗教でも哲学でも救えない」
 どれだけ素晴らしいものを教えられてもというのだ。
「耳に入っても心にはな」
「届かないのね」
「かえって悪く解釈してだ」
 そうしてというのだ。
「言った人が所属している場所を批判したりな」
「そんなことするの」
「教えはそうでも実際はとかな」
「教えが問題で」
 咲はその話を聞いて首を傾げさせて言った。
「その場所はね」
「どうでもいいな」
「そこが若しカルトとか全体主義国家の場所でないと」
 そうでない限りはというのだ。
「いいでしょ、そしてそこで頑張ってね」
「更正すればいいな」
「それだけじゃない」
「普通はそうして頑張るんだ」
「普通の人は」
「けれどそんな餓鬼にまでなるとな」
 それこそというのだ。
「そうなるんだ」
「更正しないで素晴らしいことを教えた人の場所に文句言うのね」
「仏教の教えだとお寺の檀家の仕組みなり大僧正さんがいて階級化しているとかな」
「だから教えが大事でしょ」
 咲はまたこう言った。
「自分が努力したら更正してね」
「立場も来るな」
「後でね」
 努力した結果そうなるというのだ。
「そうなるでしょ」
「だから普通はそう考えてな」
「努力して更正するわね」
「その教えの通りにしてな」
 そのうえでというのだ。
「そうなるんだがな」
「もうとことん酷いとそうもならないのね」
「ああ、世の中そんな手合いもいるんだ」
 父は残念そうに述べた。
「もうそうした奴はな」
「相手にしないことね」
「人間ゼロコン
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