第十四話 泣く女その十一
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「暫くの間はね」
「そして、ですね」
「うん。今度は学校、塾の中だよ」
話がまた動くというのだ。救済の代行の後で。
「彼等に対してもね」
「裁きの代行を下されますか」
「藤会には主に刃物や銃火器を使ったけれど」
「今度はどうされますか」
「異端審問だね」
カトリックにおいて最も忌まわしい歴史とされているこれを話に出したのだった。
「それでいくよ」
「ああした処刑をされますか」
「うん。裁きの代行は凄惨に、相手を苦しめ抜いて行う」
ここでも十字は淡々と述べる。
「そうしなければならないから」
「はい、それでは」
「今回もね」
「裁きの代行は極限まで」
「僕はやらせてもらうよ」
十字はこう言ってだ。そのうえでだ。
神父に対してだ。彼の目を見ながら尋ねた。
「それでだけれど。これまでは剣や銃のみを使ってきたけれど」
「そうでしたね。枢機卿の持たれているものややくざ者から奪ったものを」
「異端審問の様にするから」
「そうした道具が必要になりますね」
「手入れは終わっているかな」
「何時でも」
それは可能だとだ。神父も答える。
「使えます」
「そう。それは何よりだよ」
「部屋も用意しています」
道具だけでなくだ。場所も大丈夫だというのだ。
「何時でも使えます」
「有り難う。それじゃあね」
「教会に連れ込みそのうえで、ですね」
「それも考えているよ」
「わかりました。今回は念入りにですね」
「藤会も悪辣だったけれどね」
だからこそ神の裁きを代行したというのだ。十字も。
「彼等も酷いものだからね」
「はい。許せないものがありますね」
「神は悪を許さない」
感情はないがそれでもだ。そこには断固たるものがあった。十字はそこに確かな意志を入れてそのうえでだ。言葉を出したのであった。
そしてだった。彼は食べ終わった。最後のコーヒーを飲む。
それを飲んだうえでだ。こう言うのだった。
「では。学校に行って来るよ」
「あの方々はどうなのでしょうか」
「今日もおそらくはね」
「来られませんか」
「四人共ね。どうしてもね」
学校には来ないというのだ。彼等はだ。
「心が壊れてしまったから」
「心が壊れそれが破滅にならなければいいですが」
「完全な破滅にだね」
「はい、心が壊れてしまえばそれで自ら」
自殺、神父はその危険を今言った。
「それも考えられます」
「そうだね。それが一番怖いね」
「どなたがそうされようとするかわかりませんが」
「おそらくはね」
「おそらくは?」
「女の子達かな」
こちらが危ういとだ。十字は指摘し
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