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展覧会の絵
第十四話 泣く女その十
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 それでだ。こう警官達に話したのである。
「中国の漢代だ、劉邦は知ってるな」
「ああ、その漢を建国したですね」
「その英雄でしたね」
「その劉邦の嫁さんだ。呂后ってのがいた」
 刑事なりの歴史認識のうえでだ。彼はその呂后について話していく。
「その人が正室でな。自分の子供を皇帝にしたくて側室と争ったんだ」
「あっ、側室の方も自分の子供を皇帝にしたかったんですね」
「そうだったんですね」
「そうだ。それで争ってな」
 刑事は男の骸を見ながら話していく。
「呂后は何とか自分の子供を皇帝にできた」
 とりあえずはハッピーエンドだった。呂后にとっては。
 だがそれからだった。呂后はあることをしたのだ。刑事が今話すことの主題はそれだった。
「で、劉邦が死んだ」
「後は復讐ですね」
「まあよくある話ですね」
「普通に殺すんならよくある話さ」
 血生臭いにしてもだ。あるというのだ。
「けれどな。呂后は元々残酷だったんだろうな、しかもその側室が憎くて仕方がなかった」
「で、それでなんですね」
「こうした殺し方をしたんですね」
「側室の子供はあっさりと毒殺された。問題はその側室だ」
 彼女がだ。どうなったかというのだ。
「ただでは殺さんってばかりにな。こうして両手両脚が切り取られ」
「で、目をくり抜いて喋れなくして」
「耳もですね」
「ああ、全部潰して便所に放り込んだんだ」
 そうしたというのだ。
「その頃便所の下は豚がいてな。糞や小便が豚の餌だったんだ」
「じゃあ肥溜めに放り込まれたんですね」
「そうされてから」
「ああ、こいつも同じだな」
 男の骸を見ながらだ。刑事は言っていく。
「糞溜めには放り込まれてないがな」
「ですが血の海の中ですね」
「そこにいますね」
「とにかく普通はしない殺し方だ」
 人豚、それはだというのだ。
「相当えげつない奴でもない限りな」
「それこそ呂后みたいに残忍でもない限りですか」
「できませんか」
「ああ、できない」
 刑事はまた言った。
「まともな人間じゃあ絶対にねえぞ」
「こんな殺しが百人以上ですからね」
「尋常じゃない数でもありますからね」
「本当にな。どういった奴だ」
 刑事はここまで話してだ。顔を顰めさせた。
「化け物じゃねえのか、冗談抜きで」
「しかも誰も姿を見ていないですしね」
「これだけの殺しを無数にしてるってのに」
「それでも一人も、ですから」
「ちょっとないですよね」
「ああ、一体どんな奴なんだ」
 刑事は苦々しい顔で首を振った。殺された人間のことはわかった。しかしだった。
 殺した人間のことは全くわから
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