第二百七十話 禍々しさを知りその三
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「そう言われるとな」
「そうも思うよな」
「ああ」
美奈代は久志の言葉に頷いた、そうしてアイスバインから一旦離れてワインを一杯飲んでからまた言った。
「うちもそう思うわ」
「確かなことはわからないがな」
「そこまではな」
「けれどクトゥルフが力を解放出来ると思っておいた方がいいわよ」
清音は鋭い目になって述べた。
「ここはね」
「最悪の事態ってやつだな」
「ええ、常に最悪の事態を考えて動く」
「政の常だしな」
「だからね」
その為にというのだ。
「今回も。ましてやね」
「俺達はこの時の為にこの世界に来られる様になったしな」
「寝ている時にね」
「それでずっとやってきたんだ」
「まさにクトゥルフを倒す為に」
「だったらな」
「今回は特によ」
茹でられた塩漬けの豚肉をナイフで切る、するとよく茹でられた肉は実にいい具合に柔らかく切られていく。
その肉を食べつつだ、清音は久志に話した。
「最悪の事態を念頭に置いてな」
「やっていかないとね」
「そうだよな」
「最後の最後でしくじるなんてね」
そうした事態はというのだ。
「願い下げでしょ」
「絶対にな」
久志もその通りだと答えた。
「それが一番嫌だ」
「何でも終わらせることだ」
芳直も久志に言った。
「最後までな」
「それこそな」
「だからクトゥルフについてもだ」
「力を解放出来る」
「それが出来る状況と考えてだ」
そのうえでというのだ。
「戦うべきだ」
「しないだろうじゃないな」
「絶対にしてくる」
「そう思うことだな」
「相手の切り札を想定してだ」
そうしてというのだ。
「その切り札にどう対するか」
「それが勝負の分かれ目だよ」
「だったらな」
「この場合力の開放が切り札だからな」
「絶対にな」
それこそというのだ。
「それを想定してだ」
「ことにあたるべきだな」
「クトゥルフの軍勢はこちらの軍勢で戦ってだ」
「勝つな」
「そしてクトゥルフ自身はな」
「俺達が向かう」
「そうすることだ」
こう言うのだった。
「普通の人間が向かうとな」
「普通の状態で姿見ただけでアウトだからな」
久志は苦い顔で答えた。
「気が狂うからな」
「その恐ろしい姿を見てな」
「それじゃあな」
「将兵達は戦わせることは出来ない」
絶対にと言うのだった。
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