第十四話 泣く女その七
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としたその前にだ。瞬時にだった。
その手からナイフを出して顔を掴んだ。そのうえでそのナイフで。
男の下顎を切り取った。ざっくりと口から下が切り取られた。歯も舌もだ。全てが切り取られた。
そこからナイフを逆手に持って男の腹に突き立てた。上から下に一気に振り下ろす。
そうして腹を割いてもう一方の手を男の顔から腹に移してだ。その臓物を引き出した。
濁った血が彼に降りかかる。その赤く染まった顔でだ。十字は男の懐から携帯を取り出した。そしてそこにすぐにだった。
男の手下達の名前を見つけて彼等全員にメールを送った。今すぐこの場に来る様にと。そこまでのことを一瞬でしてからだ。
彼はうつ伏せに倒れ込んだ男にだ。こう告げた。
「君の仲間、手下かな。彼等にも裁きが決まっているよ」
「・・・・・・・・・」
男は喋ろうとした。だが。
下顎が切り取られているので喋れない。そのうえで臓物をぶちまけた状態で十字と見上げていた。
目で何かを言っていた。その彼にだ。十字はさらに言った。
「人豚というのを知ってるかな」
「？」
「中国に昔あったんだ」
この長い歴史を持つ国の名前も出した。
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