第29話『天翔ける流星!甦る暁の一振り』
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だが、十分でもあった。刀鍛冶が鍛錬を終えるまでは。
そして、声が聞こえた。
「セシリー……お前のおかげで完成した!」
刀鍛冶はただ前を見ていた。
「ルーク……」
倒れるセシリーの背中を、ルークが支える。
片手には、不純物一切含まぬ直刀が一本。素粒子の跳ね返りで輝く側面は、この場にいる全員の意識を支配する。
光の……いや、違う。これは『暁』の神剣――
(駄目だ!あれだけは絶対に粉砕しなければ!!)
完成したばかりの神剣を目の当たりにしてヴォジャノーイは焦り、上空へ跳びルークへ強襲する。
だがルークは動かない。セシリーも抱きかかえたままだ。でも動じないのは何故だ?まるで、ギリギリまで引き付けるかのように。
「ルーク!?」
たまらず凱が叫ぶ。しかし、この距離では一足飛び間に合わない。そしてこの後、凱はルークの……そしてヴァレンティナの真意を知ることとなる。
――――突如、閃光が空間を奔り、魔物の頬を切り裂いて勇者の手元を目指す!
「ガイ!!そいつを使え!」
たった一人のために、獅子王凱のために、勇者のために作られた一振りの刀身!
それは、凱の生き方を肯定する『殺刃なき直刀』の剣!それがたった今、凱の手に届けられた!
「当代の刀鍛冶!!お前はここで!!」
片付ける。そう言い放とうとした『矢先』、ヴァレンティナの構えし竜具の『矢』がヴォジャノーイを穿つ!
案の定、黒き弓のように倒せるわけではない。それは分かっていた。しかし、ひるませることはできた。
(こうなれば!せめて坊主を!!)
もはや巻き返しが効かないと判断したのか、魔物は標的をルークから赤子コーネリアスへ視界を切り替える。
だが、既に時遅し。
勇者、騎士、刀鍛冶、戦姫が繰り広げた幕劇の裏側で、フィグネリアが赤子をしっかりと抱きかかえて身柄を確保していたのだ。
もう、勇者を縛るものは何もない!ただ目の前の魔物を成敗するのみ!
そしてこの勝機を、凱が見逃すはずがない!!
「ルーク!ありがたくこの『神剣』使わせてもらうぜ!!」
繰り出されるは、独立交易自由都市、騎士団習得必須技能。
天翔ける銀の流星にして竜星よ!力を!
竜の舞闘を模倣した長剣様式の竜舞!その名は――――
―――銀閃殺法!海竜閃!銀之竜星!!―――
頭上数回転から繰り出される斬撃と朱い煌めきが確実に魔物の身体を、まるで夜空を切り裂く無数の流星として切り裂いて
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