暁 〜小説投稿サイト〜
展覧会の絵
第十四話 泣く女その一
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話

 だがそれでもだった。春香が自分以外の男と交わっているのは確かだった。
 だからだ。望はこのことは確かに言えた。
「あいつはベッドの上で」
「だったらもう終わりじゃない」
「終わり?」
「あの娘貴方のことはどうでもいいのよ」
 望の耳元で囁いた言葉だった。だがその言葉は春香に聞こえた。嫌になる程。
「むしろ裏切ってね」
「俺を裏切って」
「それで他の男と楽しんでるのよ。最悪じゃない」
 少女の何気ないその言葉がだ。春香の胸に突き刺さる。まるで矢の様に。
「そうでしょ。好きな相手裏切るのって最悪じゃない」
「最悪っていうんだな」
「そう。だからね」
 いよいよだ。その少女は望に囁いてきた。
「貴方もね」
「俺も?」
「そう。楽しめばいいのよ」
 こう言うのだった。望に対して。
「今ここでね」
「ここでって」
「私ならいいわよ」
 少女はいよいよだ。望に囁いてきた。望も春香も気付いていなかったがこれは誘惑だった。悪魔の誘惑、まさにそうした囁きだった。
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ