第十四話 泣く女その一
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だがそれでもだった。春香が自分以外の男と交わっているのは確かだった。
だからだ。望はこのことは確かに言えた。
「あいつはベッドの上で」
「だったらもう終わりじゃない」
「終わり?」
「あの娘貴方のことはどうでもいいのよ」
望の耳元で囁いた言葉だった。だがその言葉は春香に聞こえた。嫌になる程。
「むしろ裏切ってね」
「俺を裏切って」
「それで他の男と楽しんでるのよ。最悪じゃない」
少女の何気ないその言葉がだ。春香の胸に突き刺さる。まるで矢の様に。
「そうでしょ。好きな相手裏切るのって最悪じゃない」
「最悪っていうんだな」
「そう。だからね」
いよいよだ。その少女は望に囁いてきた。
「貴方もね」
「俺も?」
「そう。楽しめばいいのよ」
こう言うのだった。望に対して。
「今ここでね」
「ここでって」
「私ならいいわよ」
少女はいよいよだ。望に囁いてきた。望も春香も気付いていなかったがこれは誘惑だった。悪魔の誘惑、まさにそうした囁きだった。
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