第七十六話 狭いが多彩な街その九
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「優勝させてくれたり」
「そこでその素晴らしい人柄や采配、育成を知ってね」
「その監督さんを尊敬するのね」
「咲ちゃんヤクルトファンよね。私も好きだけれど」
「一家全員ね」
咲はその通りだと答えた。
「もうね」
「じゃあ野村克也さんどう?」
「大好きよ」
即座にだ、咲は答えた。
「野村さんって言ったらあれじゃない」
「ヤクルトを三度も日本一に導いた」
「名将中の名将じゃない」
「それで有名よね」
「野村再生工場もあって」
この名将はこのことでも有名である、他のチームで戦力外となった選手を再び活躍させてきたからこう呼ばれるのだ。
「あれで凄く優しくてね」
「実はいい人なのよね」
「采配だけじゃなくてね」
「あの人口は悪いけれど」
毒舌でも有名な人物であった。
「実はね」
「弱ったり困ってる人見捨てないでね」
「助けるのよね」
「そんなところもね」
咲は愛ににこりとして話した。
「大好きよ」
「尊敬してる?」
「そう言われたら」
咲は考える顔になって返した。
「そうかしら」
「まあ好きなのは確かね」
「ええ、けれどそうしたお話したら」
「贔屓のチームの監督さん尊敬するのはわかるでしょ」
「そのことはね」
「選手を尊敬する人もいるし」
愛はこのケースも話した。
「阪神ファンのフリーの編集者の人がいて」
「阪神ね」
「バースさんを尊敬してるそうよ」
「ランディ=バースさんね」
「あの人が阪神を日本一にしたのよ」
昭和六十年のことだ、ニリーグ制になってから阪神が日本一にはじめてなったシーズンであったことはよく言われていることだ、
「だからね」
「バースさんを尊敬しているのね」
「その人はね」
「そうなのね」
「その人灘高から東大行ったけれど」
それでもというのだ。
「それよりもね」
「阪神なの」
「自分には黒と黄色の液が流れてるってね」
「阪神ね、まさに」
咲はそのカラーリングを聞いただけで理解した。
「それって」
「そう、まさにね」
「阪神命なのね」
「それでね」
まさにその為にというのだ。
「バースさんをね」
「尊敬してるのね」
「そうよ、こうした人もいるのよ」
「偉人や立派なことをした人を尊敬するのね」
「私なんか尊敬したら駄目よ」
笑ってまた言った。
「他の人をね」
「尊敬することね」
「あと真顔で自分を尊敬しろなんて言う人はね」
「絶対に尊敬されないわね」
「何馬鹿なこと言ってるんだって思われて」
自分を振り返って反省点や恥ずべきものを感じないから言える言葉だというのだ、即ち無反省で厚顔無恥ということだ。
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