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展覧会の絵
第十三話 ベアトリーチェ=チェンチその八
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絵の少女の父親もかな」
 ふとだ。和典は十字との話からだ。絵のことを思い出しながら述べた。
「そうなるのかな」
「そう。彼についてもね」
「やっぱり処刑される運命だったんだ」
「本来はね」
 そうなったとだ。十字はこうも述べた。
「その筈だったけれど」
「この娘が殺してしまったんだね」
「家族や使用人達と共にね」
「だから処刑されたんだね」
 和典はこのことをこのうえなく悲しい顔で言った。
「そうなったんだね」
「そう。その通りだよ」
「処刑がもう少し早かったら?」
「彼女は死ぬことはなかったよ」
 絵を見てだ。十字は述べた。
「彼女を救えなかった。死刑執行人は」
「で、別の死刑執行人がこの娘を殺してしまったんだ」
「親殺しはどうしても無視できなかったからね」
 どの様な事情があってもだった。こうした考えはどの世界でも長い間厳然と決められていた。そこに柔軟性ができたのは近代になってからだ。
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