第二百六十九話 混沌と悪意の神その二
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「今話した通りな」
「そうだよな」
「相当おかしな連中でもないとな」
「おかしいもおかしいでな」
「邪教徒と言っていい」
「ラグクラフトの小説でもそうだったな」
「そうだ、邪教と言ってもだ」
英雄は今度はうどんの麺をすすりつつ話した。
「色々でだ」
「勝手に認定されてる場合もあるな」
「時の権力者にな」
「キリスト教だって最初はな」
「その扱いだった」
「そうだよな」
「ユダヤ教徒からはそう見られてな」
元々キリスト教がヘブライ人即ちユダヤ人であったからだ、彼等から見てキリスト教はまさに異端そして邪教であったのだ。
「ローマ帝国からもな」
「皇帝の権威を認めなかったからな」
「それに他宗教を認めなかったからな」
ローマは皇帝が中心だった、そして多くの多神教を認めて信仰していたからだ。
「だからだ」
「邪教扱いされてな」
「弾圧されていた」
「ローマ帝国としては当然だったな」
「皇帝そして他の宗教を認めないとなるとな」
「ローマそのものの否定だよ」
「まさにそれであるからな」
「弾圧したのもな」
「ローマ帝国としてはだ」
その秩序を守るという観点からだ。
「当然のことだった」
「そうだったな」
「だから邪教と認識されていた」
ローマ帝国からはだ。
「カリギュラの時代からな」
「ネロじゃなくてな」
「ネロも確かに弾圧した」
このことは事実である。
「帝国を否定する者達をな」
「国内の不穏分子をな」
「そうしていた、だがネロは最初ではなかった」
「よく最初とか言われるがな」
「それは違っていてだ」
「カリギュラからだった」
「そうだった、ネロは暴君でもなかったしな」
この通説も間違いであったのだ。
「短気で頭に血が上ると残酷なこともしたが」
「しかしな」
「基本は帝国と市民のことがいつも頭にありな」
「その為の政治をしていたんだよな」
「気前もよかった」
帝国そして市民に対してだ。
「奴隷やローマ以外の文化にも寛容だった」
「見るべき部分も多かったな」
「ローマの国家戦略も理解していたしな」
自分が治める国が内外でどうあるべきをだ。
「そして治めていた」
「それなりにいい皇帝だったな」
「ローマの大火の時も率先して動いた」
街そして民を護る為にだ。
「自ら陣頭に立ち火の粉がかかるのも恐れずにな」
「いい皇帝だったな」
「全体で見ればな、だがギリシア文化への傾倒が過ぎ」
歌いもしてスポーツの競技にも参加した、ここで無理に入賞させたとの話もあるが皇帝である月桂冠を外し皇帝としてでなく一個人として参加させたともある。
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