第二章
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「俺の気持ち伝えるさ」
「ああ、何とかそうしろ」
「臆病風になんてふかれるな」
「しっかりやれ」
「どうにかして伝えろ」
仲間達も言った、それで彼は何とかお六同じ長屋に住んでいて洗濯屋をしている小柄で愛嬌があり明るい顔立ちの彼女に自分の気持ちを伝えようと決意した。
だがどうしても言えない、そんな中で長屋に帰った時にそのお六に言われた。
「今度の花火であんたも打ち上げるのよね」
「ああ、何発か任されてるよ」
太吉は自分の気持ちを伏せて答えた。
「親方からな」
「じゃあ見せてもらうね」
お六は明るい笑顔でその言葉に応えた。
「その時は」
「楽しみにしてろ、すげえの造るからな」
「そうするね」
「ああ、腕によりをかけてな」
太吉は確かな声で応えた、そしてだった。
その打ち上げる花火を造りにかかった、ここで。
その花火をお六も見ることを思い出してだ、そうして言った。
「よし、ここでやるか」
「どうしたんでい」
岩の様な初老の男、親方が聞いてきた。
「何かあったのか」
「親方、俺の花火は俺が好きな様に造っていいですよね」
「おめえに任せるって言っただろ」
これが親方の返事だった。
「だったらな」
「そうか、それじゃあな」
「いいの造れよ」
「そうするな、それでだ」
「おめえの好きな花火をか」
「そうさせてもらうぜ」
こう応えてだった。
太吉は花火を造りにかかった、そしてだった。
花火を打ち上げる夜だ、彼は自分が造った花火の弾をそれぞれの筒に仕込みながら仲間達に対して話した。
「見てろよ、江戸どころか日本で誰も見たことのないな」
「そうしたか」
「凄い花火打ち上げるか」
「ああ」
仲間達に確かな笑顔で答えた。
「それを造ってきたしな」
「おめえ随分熱心に造ってたしな」
「寸暇を惜しんで」
「それじゃあその造った花火打ち上げろよ」
「それで江戸の人達を喜ばせろよ」
「ああ、今回の俺の花火は特別だぞ」
笑みを浮かべたままだった、そしてだった。
いよいよ打ち上げられた、すると。
夜空に赤や青、白で彩られた大輪が上がった、その真ん中に。
おの文字が見えた、皆その言葉に何かと思ったが。
次の花火の真ん中には六とありさらに。
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