第一章
[2]次話
猿と猫と栗
猿のベルトランと猫のラトンはフランスのあるお金持ちのお家に一緒に住んでいます、二匹共とても悪戯好きで家の人達をいつも困らせていました。
そんな二匹がある日です。
お家の暖炉で栗が焼かれているのを見ました、すると。
ラトンは面白くなさそうにです、こう言いました。
「栗なんか焼いて何が面白いのよ」
「ああ、君は猫だからね」
ベルトランはラトンのお話を聞いて言いました。
「だからだね」
「栗は食べないのよ」
「そうだったね」
「だからあんなものを食べてもね」
それでもというのです。
「何がいいのかってね」
「思うんだね」
「そうよ、けれどあんた栗好きよね」
「大好物だよ」
「そうよね」
「美味しいよ」
「本当かしら」
ラトンはベルトランの言葉に首を傾げさせました。
「栗が美味しいなんて」
「じゃあ食べてみる?」
ベルトランはラトンに言いました。
「よかったら」
「そうね、あんたはいつも美味しいって言ってるし」
ラトンは猫なので好奇心旺盛です、ここでその好奇心が首をもたげてきたのです。
「それじゃあね」
「食べてみるね」
「そうしてみるわ」
「それじゃあね、では早速ね」
ベルトランは燃え盛る暖炉を見つつ言いました。
「栗を取ろうか」
「火の中のね」
「そうしようか」
「そうね、早速」
「しかし僕は熱いものは掴めないんだよ」
ここでベルトランはこう言いました。
「勿論火が消えてから栗を取るけど」
「あんた熱いものは駄目なの」
「手ではね」
「じゃあ私が爪で引っ掻けてよ」
ラトンはベルトランに自分の右の前足を出してお話しました、五つの爪がニュッと出て光っています。
「栗を出すわね」
「うん、じゃあその出した栗達を僕が息で冷やすよ」
「ふーーふーーして」
「それで冷えたものを食べよう」
「私も冷えたものしか食べられないけれど」
猫だから猫舌なのです。
「あんたもよね」
「人間は平気だけれどね」
「お猿さんも熱いものは駄目ね」
「だからね」
それでというのです。
「冷やして」
「そうしてだね」
「食べよう」
こうお話してでした。
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