第二章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「一体何があったのだ」
「わかりませぬ」
「何か急に騒がしくなりましたが」
「これは一体」
「どういったことか」
周りもわからなかった、だが。
兵達が玄宗の前に来てだ、平伏してから言った。
「万歳老謀反です」
「宰相殿が謀反を企んでいました」
「それで今しがた我等が成敗しました」
「共に企んでいた者達も」
「馬鹿な、宰相が謀反なぞ」
安禄山は兎も角とだ、玄宗は思った。
「あの者に兵はない、何よりそんな度胸はない」
「吐蕃の兵達と企んでいました」
「それを見れば明らかです」
「それで今謀反人達の成敗を続けています」
「楊一門を」
「楊だと、では」
玄宗は兵達の言葉にはっとして言った、思わず座っている皇帝の座から立ち上がりそうになったがそれは皇帝の埃を以て止めた。
「貴妃もか」
「万歳老お願いがあります」
「あの方も楊家の方です」
「謀反に加わっております」
「ですからここは」
「その様な筈がない、落ち着くのだ」
玄宗は兵達に命じた。
「今はな」
「万歳老これはどうしようもありませぬ」
傍にいた髭のないしっかりとした顔立ちと体格の老人が言ってきた、彼の傍に常に控えて忠実に仕えている宦官の高力士である。
「ですからここは」
「貴妃をか」
「そうしましょう」
「だがそれは」
「お気持ちはわかりますが」
玄宗の楊貴妃を想う気持ちはというのだ。
「ですが」
「それでもか」
「そうしなくてはです」
楊貴妃を死なせなくてはというのだ。
「兵達は収まりませぬ」
「このまま暴れ続けるか」
「そうなっては逃れるどころか若し追手が来てもです」
「戦にもならぬな」
「今は非常の時です」
高力士はこのことも話した。
「ですから」
「そうするしかないか」
「はい」
「わかった、だがこの辺りにはライチが多い」
玄宗は高力士の言葉に頷きつつも言った。
「だからな」
「貴妃様にですか」
「あの者はライチが好きだからな」
それ故にというのだ。
「最後にだ」
「ライチを召し上がってもらい」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「死なせたい」
「そうされますか」
「それはいいな」
「わかりました」
高力士は玄宗の言葉に頷いた。
「それでは」
「すぐにライチを集めよ、そしてだ」
「貴妃様にですね」
「覚悟を決めよと言え、布をだ」
首を絞める為のそれをというのだ。
「用意せよ」
「すぐに」
高力士も応えてだった。
すぐにライチが集められた、玄宗はそれが集められて楊貴妃がそれを食べるまで彼女を殺さぬ様に命じていた。
だが兵達は収まらず。
「何っ、もうか」
「はい、貴妃様にです」
高力士は玄宗に沈痛な顔で述べた。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ﾍﾟｰｼﾞ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿ｻｲﾄ〜
利用規約/ﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰﾎﾟﾘｼｰ
利用ﾏﾆｭｱﾙ/ﾍﾙﾌﾟ/ｶﾞｲﾄﾞﾗｲﾝ
お問い合わせ
2024 肥前のﾎﾟﾁ
しおりを解除