第三章
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「アースガルズに入ったならだ」
「あちらには行けなくなったな」
「だからあの者も知ることが出来ない」
「誰もな」
「これだけ怖いことはない」
「知ることが出来ない相手こそな」
「そうだ、我々は最後まで怯えることになるのだ」
トールに対して話した。
「ムスヘルムの者達にな」
「炎の巨人共にな」
「そうなる、神であってもな」
「知ることが出来ない者達がいてな」
「恐ろしい者達がいるのだ」
「そういうことだな、癪だが」
それでもとだ、トールは話した。
「神といえどもな」
「そうした者達がいるのだ」
「そのことを認めるしかないな」
こうオーディンに述べた、そうしてだった。
トールはゲームの負けを認めた、そちらはオーディンの圧勝だったが負けたことには癪に思っていても知っていたので怖くはなかった。
そして神々は常にだった。
ムスヘルムの者達を怯え続けていた、そうした彼等を見て他ならぬ炎の神であるロキ燃え盛る炎が髪となっていて陰のある整った顔立ちに赤い服を着た彼は親しい者達に話した。
「私も炎の巨人達を知ることが出来ないからな」
「炎の神であられても」
「その神であられるからですね」
「もうムスヘルムとは縁がないからですね」
「恐ろしい、だがラグナロクの後は怖くはない」
その時はというのだ。
「私も最後の役目を終えて神でなくなるがな」
「只の炎に戻られますね」
「ブリュンヒルテがくべた火に」
「そして神々も小人も巨人も焼き尽されますね」
「炎の巨人達も率いて」
「彼等は恐ろしいが」
その炎の巨人達はというのだ。
「しかしな」
「ラグナロクは恐ろしくないですか」
「そちらは」
「そういえば他の神々もラグナロクは恐れられていないですね」
「それ自体は受け入れられていますね」
「知っているからな」
ラグナロクはというのだ。
「どういったものかな、避けられずどうなるか」
「神々も小人も巨人も焼き尽くされ」
「後は人間の世界となる」
「それがですね」
「指輪も戻りな」
ロキはこうも言った。
「ラインの乙女達のもとね。例え滅んでもだ」
「そうなってもですね」
「それがどういったものかわかっていれば」
「そうであるならですね」
「恐れないのですね」
「受け入れるしかないのなら尚更な」
そうしたものであるならというのだ。
「そうなる、怖いのは知らないからだ」
「知らないものを恐れる」
「しかし知っていれば誰も恐れない」
「どういったものでもですね」
「そういうことだ、神でもな」
こう親しい者達に言ってだった。
彼はブリュンヒルテのことを聞いた、彼はまだ運命の中に入ろうとしていなかった。そのことを聞いてほっとしたがそれが出来るのも知っているか
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