第百三十一話 鱗、襲撃を受けるのことその六
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「だからオロチの論理で動いてるんだよ」
「そういうことか。しかしだ」
「あんたは人間として戦うんだな」
「如何にも。わしは人間だ」
紛れもなくだ。そうだというのだ。
「その人間としてだ。貴様等を止める」
「何度も聞いてるがいい言葉だよ」
「何っ、いいというのか」
「ああ、人間の考えではそれが正しいんだろうな」
大門が投げようと掴んでくるところをだ。素早く後ろに下がってかわした。
そうして間合いを離してからだ。彼は言ったのである。
「だがな。人間自体がな」
「害悪だというのか」
「文明ができてからどうなったんだ?」
社が問うたのはこのことだった。
「地球は破壊されてああなったな」
「我等の世界か」
「自然がな。地球のあり方なんだよ」
「それ故に人を滅ぼすのか」
「そうさ。そうした意味で俺達は刹那とも同じ考えなんだよ」
この世と常世を結びつけてだ。人の世界を滅ぼそうとする彼ともだというのだ。
「こっちの世界の司馬尉や時空を超える于吉達ともな」
「人を滅ぼすという目的はか」
「俺達は自然に戻すんだよ」
この世の全てをだというのだ。
「その為にはな。人間はもう邪魔なんだよ」
「では聞こう」
再び拳と蹴りの応酬になった。大門は足払いを仕掛ける。社はそれを跳んでかわす。
今度は社が上から蹴りを出す。大門はそれを掴み取ろうとする。
だが社はそれを空中で体勢を立て直してかわしてだ。着地した。
そうした攻防の中でだ。大門は社に問うたのである。
「人を滅ぼしその巻き添えで死ぬ他の動物達についてはどう思う」
「あと植物もだよな」
「そうだ。その者達についてはどう考えている」
「さてな」
軽い調子でだ。返した社だった。
「まあ犠牲はつきものだからな」
「自然を取り戻す為のか」
「自然ってのは災害でもあるんだよ」
言いながらだ。社は実際に地震を放つ。大門は自分の地震でそれを相殺する。
その中でだ。社は大門に言うのだった。
「その中で死ぬ生きものだっているだろ」
「それは構わないというのか」
「そういうことだよ。それが自然だからな」
命自体にだ。素っ気無く述べる社だった。
「そんなことはわかってる筈だろ?」
「そうだな。確かにわかったことがある」
ここで言う大門だった。
「それはだ」
「それは?何だってんだい?」
「貴様等もまた独善だ」
このことをだ。大門は確信したのだ。
「貴様等の正義だけを考えているだけだ」
「それが悪いってのかい?」
「それもまた悪だ」
独善、それが即ちだというのだ。
「それにより多くの者達が害されるのならばだ」
「じゃああれかい?人間が自然を守るっていうのか?」
「そうだ。人は確かに自然を破壊する」
大門もだ。
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