第五章
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「そうされるか」
「はい、愛情を持っていれば」
ボーディサッタはさらに話した。
「これもまたです」
「当然のことか」
「そう考え」
そしてというのだ。
「動いています」
「それで踏まれてもか」
「何とも思いません、むしろ」
王に強い声で話した。
「ここで彼等のことを考えず自分だけ逃げますと」
「それは出来たな」
「動かねば私は危険に遭わず踏まれませんでした」
そうしたこともなかったというのだ。
「全く」
「そうであったな」
「ですが猿達はどうなったか」
彼等はというのだ。
「王は脅されただけですが」
「実際に攻めればか」
「大変なことになってました、それを見ても逃げるだけなら」
そうすればというのだ。
「私は血も涙もない輩となり死後は地獄に落ちることになるでしょう」
「それは誰でもだな」
「人であっても猿であっても」
「ではだ」
ここまで聞いてだ、王は言った。
「私もだな」
「左様です、若し愛情を持たずご自身だけよいとされ」
そうしてというのだ。
「生きられますと」
「私は棒君となり死ねば地獄に落ちるな」
「そうなります」
まさにというのだ。
「間違いなく」
「では国とそこにいる全ての者達にだな」
「愛情を注がれ」
そうしてというのだ。
「治められることです」
「そうだな」
王はボーディサッタの言葉に頷いた。
「そうあるべきだ」
「左様ですね」
「うむ、それではこれからはな」
王はさらに言った。
「そなたのことを常に胸に留め」
「そうしてですか」
「国を治めていよう、若しや」
ここで王ははっとなって言った。
「あの実が流れ着いたのは」
「マンゴーの実ですね」
「あの果物の名前だな」
「そうです」
「そのマンゴーが私のところに流れ着いたことも」
「はい、御仏のお導きです」
「そうであるか、ではな」
「これよりはですね」
「御仏の教えに従い」
そうしてと言うのだった。
「国と全ての民を治めていこう」
「そうされて下さい」
「それではな、して貴殿はこれからどうされる」
「ここでの勤めを全うします」
ボーディサッタは確かな声で答えた。
「前世の縁のそれを」
「そうされるか」
「その後で人の姿に戻り」
ボーディサッタはさらに話した。
「今の生の務めを全うします」
「そうされますか、では私は」
「これからはですね」
「御仏の教えに沿い治めていきます」
王はこのことを約束した、そうしてだった。
猿の姿のボーディサッタに深々と礼をして彼と別れてだった。
そのうえで国に戻り彼に約束した通り国を治めた、すると国は実に素晴らしい国になり王自身は死ぬと極楽に生まれ変わることが出来た。インドに伝わる
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