第四章
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「そうしたい」
「はい、それでは」
「そうしましょう」
「これより」
「ではな、そこの蔦を使って仲間を救った猿殿よいか」
王は実際に猿に貌を向けて声をかけた。
「貴殿は人間の言葉がわかり話せるか」
「はい」
人間の言葉で返事が来た。
「そうですが」
「それは有り難い、貴方は自身の命を賭けてだ」
そうしてとだ、王は猿の返事を受けたうえでさらに言った。
「仲間を救われた」
「当然のことをしただけですが」
「そこまでされるとは見事だ」
王は素直に言った。
「王である私には考えつかなかったことだ」
「いえ、それは」
「誰でもというのか」
「そのつもりがあれば」
「そう言われるお心が見事だ、一体貴方は何者か」
王は猿に問うた。
「一体」
「私は彼等を導く者です」
猿は答えた。
「実は人でボーディサッタといいます」
「ボーディサッタ殿と言われるか」
「はい、今は前世の縁があってです」
それ故にというのだ。
「ここに猿になって暮らし」
「そうしてなのか」
「彼等にあらゆることを話してです」
「そうされてか」
「教え導いています」
「そうされているか」
「はい」
まさにというのだ。
「そうしています」
「そうであったのか」
「私は彼等を我が子の様に慈しみ」
ボーディサッタはさらに話した。
「長い時間が経っています」
「前世の縁から」
「そうです、今では彼等も私を慕ってくれています」
「愛情を受けてか」
「愛情を持ってくれています」
そうなっているというのだ。
「有り難いことに」
「そしてか」
「先程の様なことがあれば」
その時はというのだ。
「あの様にしてです」
「猿達を助けているか」
「左様であります」
「ご自身の危険を顧みず」
向こう岸まで跳んでまた跳んで戻ってというのだ、その向こう岸までの距離もかなりのもので川に落ちる危険もあった。
見れば川には鰐も見える、落ちれば危うい。王はそれも見て言うのだった。
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