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イベリス
第七十六話 狭いが多彩な街その一

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                第七十六話  狭いが多彩な街
 咲はこの日朝早く起きてそのうえで電車に乗って東京のまだ行っていない駅を降りてその駅前を見て回ることを行っていった、愛も一緒だったが。
 愛は咲に落ち着いた顔で話した。
「別に一度に巡らなくてもいいのよ」
「そうなの」
「焦らないでね」 
「時間がある時になの」
「一つずつ見て回る位でね」 
 その程度でというのだ。
「いいのよ」
「そうなの」
「私だって高校一年からはじめて」
 この時からというのだ。
「時々しなくて」
「そうしてるの」
「だからね」
「一日で幾つも巡らなくてもいいの」
「そう、小旅行する感じで」
「都内の」
「日帰りのね」
 愛は軽く話した。
「それに行く感じよ」
「そんなつもりでやっていったらいいの」
「そうよ、この前鶯谷行ったけれど」
「あのホテル街の」
「結構面白かったわ」
「そうなのね」
「じっくり見て回ったから」
 その鶯谷をというのだ。
「だから咲ちゃんもね」
「一日に何ヶ所もなの」
「行かなくていいのよ」
「そうなのね」
「それで今日何処に行くの?」
「世田谷の方行くつもりだったの」
 咲は正直に答えた。
「実はね」
「あちらね」
「そう考えていたけれど」
「世田谷は私も行ったことないわ」
「そうなの」
「じゃあ今日そっちに行く?」
 その世田谷。にというのだ。
「そうする?」
「そうね」
 少し考えてからだ、咲は愛に応えた。
「最初からそちら行くつもりだったし」
「じゃあ丁度いいわね」
「世田谷行こう」
「そうしましょう」
 愛も答えた、こうしてだった。
 二人で世田谷に行った、そうして駅から下りて住宅街の方を歩くとだった。咲は家々を見て愛に話した。
「高級住宅街って聞いてたけれど」
「その通りよね」 
 愛も見て周りながら答えた。
「ここは」
「噂通りね」
「白金台なんかはね」
「昔シロガネーゼって言葉あったわね」
「今だとタワマンの上の方に住んでる人ね」
「セレブよね」
 咲は首を少し傾げさせながら答えた。
「言うなら」
「そうよ、まあ私達別にセレブとか」
「興味ないわよね」
「人によっては滅茶苦茶嫉妬するけれど」
 そのセレブと呼ばれる人達に対してだ。
「嫉妬してもね」
「意味ないわよね」
「他人に嫉妬しても」
 資産のことに限らずというのだ。
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