第四十二話 カレーライスを食べてその十二
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「調子出ないんだよ」
「六時間ね」
「だから出来るだけ寝る様にしてるんだよ」
「六時間は」
「ああ、間違っても徹夜はしないからな。何かな」
ここで兄はこうも言った。
「団地にいるだろ、日本人とオーストラリア人のハーフの」
「ああ、テニス部の娘のお母さんね」
「あの人名前忘れたけれどな」
それでもというのだ。
「一日十二時間寝るらしいな」
「半日寝てるじゃない」
これには留奈も驚いた。
「アインシュタイン博士並よ」
「あの人もそれだけ寝たらしいな」
「その人並じゃない」
「何でも寝ることが最高の趣味らしくてな」
「一日それだけ寝るの」
「それだけ寝たら長生きするだろうな」
兄はしみじみとした口調で話した。
「流石に」
「ヒトラーやスターリンと違って」
「スターリンって七十代前半で死んでたな」
「昔だと長生きよね」
「二十世紀だとそんなにだろ」
「それもそうね」
留奈もそれはと納得した。
「何か若くして権力の座に就いたって聞いたけれど」
「結構な、四十代でな」
「総理大臣ってもっと歳取ってよね」
「そうだよな、ヒトラーも四十代で総統だぞ」
「政治家としては若いわね」
アメリカ大統領となったケネディやクリントンは四十代でそうなり若いと言われていたがヒトラーやスターリンも年齢的には変わらなかったのだ。
「それでずっとなのね」
「毎日激務だったんだ」
「凄いわね」
「それだと長生き出来ないな」
「碌に寝てないと」
「あと軍人さんも寝られないらしいな」
この職業の人達もというのだ。
「仕事によるとな」
「自衛官の人達もよね」
「ああ、士官になってな」
そうしてというのだ。
「海軍の話だけれど大和の甲板士官か」
「甲板士官?」
「船の生活規範を監督する士官なんだよ」
自分の職務と兼任する職務である、若い士官の教育の為に就けられることが多い。今の海上自衛隊にもある。
「それで忙しくてな」
「大和ね」
「あの戦艦のな」
「物凄い大きかったし」
「だから人も多くてな」
乗員は三千人以上いた。
「一日四時間位しかな」
「寝られなかったの」
「そうだったらしいな」
実際にこの職務に就いた人が著書で書いていることである。
「碌にな」
「軍人さんも忙しいのね」
「そうみたいだな、まあ戦争になったらな」
その時はとだ、兄は話した。
「何時寝られるかな」
「わからない時もあるわね」
「夜襲とかあるしな」
「そうよね」
「けれど普段寝てるとな」
「違うのね」
「ああ、よく寝ないとな」
さもないと、というのだ。
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