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書いてくれたらわかった
第二章

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「この学校でお話している言葉は北京語ですね」
「中国での標準語ですね」
「はい、そうですが」
 それでもとだ、先生は真理子に話した。
「私は四川生まれで」
「四川省の言葉ですか」
「中国語はそちらなんです」
「ああ、あの娘はまだ」
「北京語しかわからないので」
 それでというのだ。
「私も途中で気付いて」
「日本語でお話してくれましたか」
「はい、書けば」
 文章ならというのだ。
「よかったですね」
「中国語は文章のやり取りでわかりますね」
「国が広くて人も多いので」
 そうして国でというのだ。
「同じ中国人で漢字を使っていても」
「話す言葉は全く違いましたね」
「地方によって」
「日本の方言より差がありますね」
「そうなので書いたら娘さんとも普通にです」
「やり取り出来ましたね」
 真理子もわかって述べた。
「そうでしたね」
「日本語でなくとも。私も反省しています」
「そうですか」
「今度からは北京語でお話しますね」
「会話の時は」
「そうします」
 こう真理子に話した、そしてだった。
 真理子は家に帰ると娘に中国語のそうした事情を話した、すると娘も納得して自分の中国語が駄目ではないということがわかってほっとした、だが。
 夜になって夫と一緒に飲んでる時にこのことを話すと。
 大きな目で細面に鳥の巣の様な頭で一七〇程の太った身体の彼はこう言った。
「そんなこと当然ばい」
「そう思うけえ?」
「狭い日本でも方言の違いあるとよ」
「それで広くて人の多い中国ならけえ」
「そうばい、わし等のいる京都も方言あるとよ」
「なら中国はもっとじゃのう」
「そうばい、先生の言う通りとよ。わしも最初奥さんの言葉わからんかったとよ」 
 博多弁で話した。
「奥さんもたいな」
「耳は広島じゃけえ」
 妻はこう返した。
「それならのう」
「そういうものばい、中国語も一つじゃなかとよ」
「日本語も同じでのう」
「国が広くて人が多いなら尚更たい」
 二人でビールを飲みながら話した、それで方言のことをあらためて認識した。日本のものだけでなく中国のものも。


書いてくれたらわかった   完


                     2022・11・27
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