第一章
[2]次話
書いてくれたらわかった
今泉真理子は教育熱心な母親だ、娘の喜利子にピアノを習わせてだった。
英会話学校も通わせている、それだけでなく。
「へえ、中国語もなの」
「中国語も習わせてるの」
「そうしてるの」
「だって中国の人口って十四億よ」
真理子はママ友達に話した、丸いタラコ唇で睫毛の長い小さ目の切れ長の目で眉も小さい。黒髪を短くしていて丸顔で背は一五二程で肉感的な身体をしている。その彼女がこう言うのだ。
「世界中に華僑の人いるでしょ」
「日本でもだしね」
「横浜や神戸に中華街あるし」
「この大阪でも黒門市場にお店あったりするし」
「華僑の人も多いわね」
「だからよ、英語も大事だけれど」
それと共にというのだ。
「中国語もね」
「大事なのね」
「それで喜利子ちゃんに勉強させてるのね」
「英語と一緒に」
「英語と中国語わかったら」
この二つの言語がというのだ。
「海外に出てもかなり楽だしね」
「成程ね」
「そこまで考えてるのね」
「ええ、そうなの」
サラリーマンの夫の給料に自分の在宅ワークで稼いだお金を注ぎ込み家計を節約してそのうえでだ、真理子は娘の教育に力を注いでいた。
その介あり娘はピアノが弾ける様になり英語も中国語も子供ながらわかる様になった、だがある日のこと。
小学四年の娘は自分そっくりの母に家で泣きそうな顔で言ってきた。
「今日中国語の先生と中国語でお話したの」
「レッスンでそうしたのね」
「先生凄くゆっくりお話してくれたのに」
家で泣きそうな顔のまま言うのだった。
「私全然わからなかったの」
「そうなの」
「何か中国語じゃないみたいに聞こえて」
先生の言う言葉はというのだ。
「先生が日本語でお話してくれたらわかったの」
「先生の中国語わからなかったの」
「うん、私ずっと勉強してるのに」
中国語をというのだ、幼稚園の頃から通っている。これは英語もだ。
「他の先生とはお話出来るのに。どうしてなの?」
「それは」
どういうことか真理子としても気になった、それでだった。
次の日中国語学校娘を通わせているそこに行って事情を聞くとだった。
当の先生若い女性で黒髪を長く伸ばし切れ長の目で細長い顔に眉を持つ背が高くすらりとしている彼女が日本語で話した。
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