第二章
[8]前話
「地元に戻ってたんだな」
「そうだったのね」
「まさかな」
考える顔でこうも言った。
「ここで会うなんてな」
「思わなかったのね」
「ああ」
こう答えた。
「まさかな」
「高校時代の彼女さん見掛けて」
「子供いるなんてな」
「お義母さんのお見舞いに来て」
「夢にもだよ」
こうまで言うのだった。
「思わなかったよ」
「そうね、お義母さんのことだけ考えていたわよね」
「そうだったからな」
それでというのだ。
「驚いたよ、ただな」
「ただ?」
「僕達だってな」
「結婚してるしね」
「子供だってな」
こちらもというのだ。
「これからな」
「出来るかも知れないわね」
「人間生きていたらな」
それならというのだ。
「何かとな」
「あってね」
「成長もしてな」
そうしてというのだ。
「変わっていくな」
「そうよね」
「だから子供がいても」
高校時代の彼女にというのだ。
「それでもな」
「不思議じゃないわね」
「考えてみれば」
「そうね、じゃあお義母さんも大丈夫だったし」
「安心して家に帰られるな」
「ええ、じゃあ帰りましょう」
「そうしような」
二人でこう話してだった。
共に病院を出て駅まで歩いて隣の県にある二人の家に帰った、そのうえで退院した時のお祝いの品は何にしようかと話したのだった。もう夫のかつての彼女が子供を抱いていたことは頭の中にはなかった。
元カノの子供 完
2022・11・27
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