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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第135話:残酷で、だけど優しくて
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悪い事が立て続けに起こるもの。あおいの報告に続き、朔也からも厄介な報せが届いた。
『この海域に急速接近する巨大な物体を確認ッ! これは――』
『いつかの人型兵器かッ!?』
接近しつつあるのは、彼らは知らない事だがレイアの妹である巨大なオートスコアラーであった。正面モニターには、本部に接近する巨大なオートスコアラーの姿がはっきりと映し出されている。
あんなものに取りつかれては、この本部も一溜りも無い。急いでここから離れなければ。
『装者達の脱出状況はッ!?』
焦る弦十郎だが、こんな時の為の魔法使い。そもそも透がクリス達について行ったのだって、場所柄非常時に即座に逃げ出せるようにする為であった。
「安心しろオッサン! もうとっくに潜航艇まで戻ってる」
「今から本部に戻ります」
余裕をもって潜航艇に乗り込んだ4人は、即座に崩れつつある深淵の竜宮を離れ本部潜水艦に着艦した。
「潜航艇の着艦を確認ッ!」
「東野村、急速浮上だッ! 減圧を気にせず振り切れッ!」
「アイアイ、サー!」
東野村の操舵により、本部潜水艦は一気に海面へと浮上した。急激な気圧の変化により、耳鳴りや頭痛に苛まれるクルーが出るがそんなのは完全に無視だ。
そして飛び出す様に海面から顔を出し、太陽が正面モニターに映し出される。
それと同時に、海面から巨大オートスコアラーが姿を現した。
「ッ!? やっばい!?」
危険を察し、東野村は咄嗟に舵を切った。それが幸いし、巨大オートスコアラーが振り下ろしてきた巨椀は海面を打つだけに留まった。
目標を仕留めそこない、苛立ったような視線を本部潜水艦に向ける巨大オートスコアラー。
その顔面に、巨大な拳が叩き付けられた。
「ッ!?」
「やれやれ、こんなデカ物の相手は俺らの専門外じゃねえのか?」
巨大オートスコアラーを殴ったのはハリケーンドラゴンのウィザードに変身した颯人だった。ビッグの魔法で腕を巨大化させ、それで巨大オートスコアラーを殴ったのだ。
「まぁいい、仕込みはもう十分。そろそろお披露目に向けて準備させてもらうぜ」
〈チョーイイネ! キックストライク、サイコー!〉
空中に飛び、巨大オートスコアラーの頭部に向けストライクウィザードを放つ。頭を殴られて体勢を崩していた巨大オートスコアラーには、この攻撃を回避も防御もする余裕が無い。
「ハァァァァァァァッ!!」
颯人の一撃が巨大オートスコアラーの頭部を粉砕し、海の底へと押し戻す。
これで漸く、全てのオートスコアラーの討伐を成し遂げたのであった。
「さって、最後の仕上げの前に……一仕事しないとな」
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