暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第135話:残酷で、だけど優しくて
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の瞬間、何かが高速で吹き飛びその煙と炎がかき消された。何かと思い周囲を見れば、そこには鎧を吹き飛ばし普段の軽装へと戻ったメイジの姿。
 そう、かれは己の身に纏っていた鎧を吹き飛ばす衝撃でクリスの視界を遮っていた邪魔な煙を退かしたのだ。

 視界が晴れた中、動きを止めていたレイアにクリスは残りのミサイルを叩き込む。煙と、そして吹き飛んだ鎧と衝撃により足を止めていたレイアはこれを避ける暇がない。

「…………フ」

 ミサイルが直撃する寸前、レイアは一瞬笑みを浮かべたがその事に気付く者は誰も居ない。

 クリスと透は、後ろから切歌が伸ばしてきたチェーンにより一気に引っ張られていた。彼が敢えて鎧を吹き飛ばしたのは、煙を退かす為であると同時に身軽になって切歌の負担を減らす為でもあった。
 そして2人は切歌に引っ張られ、ミサイルの爆発から逃れていた。だがこのままでは距離が近すぎて、切歌の所まで行っても爆発に巻き込まれる。

 それを防ぐべく、調が丸鋸を周囲に飛ばして隔壁のスイッチを起動させていた。

「――隔壁のスイッチの位置は、覚えてるッ!」

 調の丸鋸によりスイッチが起動し、ギリギリのところで隔壁が閉まりミサイルの爆発から逃れる事が出来た。

 敵を倒し、安全も確保された事でクリスは安堵の溜め息を吐く。

「ふぅ……」
「やったデスッ!」
「即興のコンビネーションで、全く持って無茶苦茶……」

 正直このコンビネーションは本当に賭けであった。何しろロクな打ち合わせも無かったのだ。

 しかしそれを見事に成し遂げてみせた。その事にクリスは誇らしげな顔を2人に向けた。

「その無茶は、頼もしい後輩が居てくれてこそだッ!……ありがとな」

 険しさの抜けた顔で、クリスは切歌と調の手を取り素直に2人に感謝した。何時もの様子のクリスからの、感謝の言葉に切歌と調も嬉しそうな顔になる。
 そして透は、そんな2人の頭を優しく撫でた。言葉が使えない、彼なりの即席の感謝の印である。

「わわっ、ちょ、先輩!」
「むぅ、子供扱いしないで」
「そうじゃねえよ。透も、2人にありがとうって。な?」

 己の言葉を代弁してくれたクリスに、透も頷く事で答えた。クリスと透の様子に、2人も納得したのか抵抗を止めた。

 これで一件落着…………と思っていたのだが、そうは問屋が卸してくれないらしい。

 突如として周囲が揺れ始めたのだ。

「ッ!? なんだ……」
『深淵の竜宮の被害拡大……、クリスちゃん達の位置付近より、圧壊しつつありますッ!」

 どうやら最後の一撃は少々本気になり過ぎてしまったらしい。加減を間違えて、施設が持たないほどのダメージを与えてしまったようだ。
 これだけでも凶報なのに、悪い時には
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