暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第135話:残酷で、だけど優しくて
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 エルフナインを介した通信を切ったキャロルは、虚空を睨み付けて忌々し気に舌打ちをした。

「チッ、使われるだけの分際で……」

 キャロルにとって予備躯体の候補であったエルフナインは完全に物であり、意思などと言うものは本来必要のない存在であった。だがただの人形ではS.O.N.G.にダインスレイフを届けるという役割をこなせない。だからある程度の自由は残して放置してやったというのに、一端の絆を築いている事が気に食わなかった。

 そんな事に気を取られて足を止めていたのがいけなかったのだろう。追跡してきていたクリス達が追い付いてしまった。

「ここまでよ! キャロル、ドクター!」
「さっきみたいにはいくもんかデス!」

 今度こそキャロル達を捕らえるという気合に溢れた切歌と調。その2人の言葉に、しかしキャロルは追いつかれた事に対する焦りは微塵も見せなかった。

「だがすでに、シャトー完成に必要な最後のパーツの代わりは入手している」

 後はこの場を逃げ出すだけ。その為の障害となる装者達の足止めの為、キャロルは残ったアルカノイズの召喚結晶をばら撒いた。

 結晶が砕け、紋章が出現しアルカノイズが姿を表そうとする。

「子供に好かれる英雄ってのも悪くないが、生憎僕はケツカッチンでねッ!」
「誰がお前なんかッ!」

 何を勘違いしているのか、それとも単純に彼女らを呷りたいだけなのか分からない言葉を宣うウェル博士に切歌は反射的に噛み付いた。

 それが彼の狙いだったのかは分からないが、お蔭で先手をあちらに許してしまいアルカノイズが完全に召喚されて迎撃態勢が整ってしまった。出遅れた事に僅かながら歯噛みしつつ、切歌達もシンフォギアを纏った。

「Zeios igalima raizen tron」

 クリス、切歌、調の3人がシンフォギアを纏い、透がメイジに変身してアルカノイズを蹴散らしキャロル達に迫ろうとする。

 序盤、4人は立ちはだかるアルカノイズを次々蹴散らしながら確実に前進していた。持ち込んだアルカノイズの数に限界があるのか、その数は決してそこまで多くは無くこのままいけば苦も無く殲滅してキャロルまで迫れそうな勢いであった。

 だがそれもクリスにオートスコアラーのレイアが肉薄してきた事で状況が変化する。

「くっ!?」

 クリスは取り回しの良い二挺の拳銃で、トンファーによる接近戦を仕掛けてきたレイアを迎撃するもレイアはトンファーを巧みに扱いクリスの持つ拳銃の銃身を弾いたり、躍る様に左右に動いて放たれる銃弾を回避した。
 こういう相手にはガトリングなどで弾幕を張るのが最も効果的なのだが、何だかんだ言って先程の弦十郎とのやり取りなんかを気にしているのかクリスは重火器の使用を控えて小火器による迎撃
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