第七十二話 キャンバスライフその十
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「幼稚園や小学校はそうで」
「大学もね」
「それで中学と高校はですね」
「そうなの、違うの」
「博物館もそうで」
「そうなっているの」
新一君にお話しました。
「おぢばの学校はね」
「そうなんですね」
「何でも中学校は前は別の場所にあったのよ」
「そうなんですか」
「そう、神殿の西の方にね」
そちらにあったと聞いています。
「それが移転したの」
「今のところにですか」
「そうみたいよ」
「それは知りませんでした」
「けれど高校はずっとあそこらしいわ」
高校の方を見てお話しました。
「何でもね」
「相当古い校舎ですしね」
「そうね、年代ものっていうか」
それこそです。
「おぢばの建物の中でも記念碑みたいにね」
「古いところですね」
「奥華の詰所も昔は母屋じゃなかったそうよ」
「あそこもですか」
「高校の北寮よりも向こうにあったそうなの」
「あそこの方ですか」
「それが母屋に入れてもらったそうよ」
私が生まれる前のことです。
「何でもね」
「そうなんですね」
「私のお父さん達が子供の頃ね」
「えっ、そんなに昔かしら」
「もっと昔かも知れないわ」
「四十年か五十年位前ですか?」
新一君はここまで聞いてこう言いました。
「それじゃあ」
「それ位かしらね」
「もうずっとあの母屋って感じですけれど」
「だからかなり前だから」
五十年となるとです。
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