第百二十九話 ほたる、父を見るのことその九
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「そういうのはいけるんだよ」
「ふうん、駄目なのは牛乳だけなんだ」
「あれ飲むと本当に力が抜けてな」
「つくづく変わった体質ね」
馬岱が聞いてもだった。真吾のその体質は。
「本当に大蒜を生命源にしてるの?」
「俺の場合は鰯と冷凍うどんなんだけれどなあ」
「どっちも牛乳関係ないよね」
「それでもそうなんだよ。牛乳飲むと本当に」
「訳がわからないっていうか」
馬岱は話を聞いてまた首を捻る。
「どうなってるのかしら」
「まあとにかくだ」
ケイダッシュは話す二人の横から馬岱に対して言ってきた。
「馬乳酒まだあるか」
「はい、どうぞ」
言ってだ。馬岱はまた壺を出してきた。ケイダッシュはそれを受け取りまた飲む。
そうしながらだ。彼は言うのだった。
「これはいい。幾らでも飲める」
「お酒としてはあまり強くないからね」
「そうだな。これはな」
「そう。だからかなり飲んでも大丈夫だから」
悪酔いはしないというのだ。
「いけるよ」
「わかった。じゃあな」
「俺達も飲むか」
ラモンも応えてだ。そのうえでだ。
彼等もだ。宿敵が迫っていることを感じていた。遊びの中にもそれが迫っていた。
その夜にだ。ほたるはだ。
黄蓋、そして孫尚香と共に夜の森の中を歩いていた。
その中でだ。黄蓋がほたるにこんな話をした。
「夜の森は確かに危ない場所じゃ」
「獣が多く潜むからですね」
「獣は大体夜に動くものじゃ」
その習性をだ。よくわかっての言葉だった。
「それに賊もおるしのう」
「賊も獣と同じですか」
「そうじゃ。同じじゃ」
まさにだ。そうだというのだ。
「人に害為す者達じゃからな」
「確かに。言われてみれば」
「うむ。その者達が蠢くのが夜の森じゃ」
「では逆に言えばですね」
そのことを聞いてからだ。ほたるは述べた。
「夜の森に入れば。彼等を」
「多く成敗できるのじゃ」
「そうなりますね。確かに」
「昼には見えぬものも夜には見えることもある」
黄蓋はこれまでの人生経験からも話す。
「そして見えたものをどうするかが大事なのじゃ」
「ううん、夜の森はね」
孫尚香はここでだ。その夜の森を見回す。
最初は何も見えなかった。しかし今はだった。
目が慣れ月明かりの中で色々なものが見える様になっていた。そうして見えるものは。
梟、金色の目のそれにリス等の小動物達、それに蝙蝠達だ。そうしたものを見てだ。
彼女もだ。頷きながら黄蓋に応えて言うのだった。
「確かに見えるわ。よくね」
「ふむ。小蓮殿はもう見える様になったか」
「見えるだけじゃなくてね」
微笑みながらだ。孫尚香は黄蓋に話していく。
「聞こえるし。感じるわ」
「ほう、感じもするか」
「うん、色々
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