第百二十九話 ほたる、父を見るのことその五
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「我等では」
「言ったわね。止められることではなかったのよ」
曹操は謝罪する徐晃に告げた。
「牙刀はね。最早ね」
「では我々は」
「これからは」
「牙刀さんのところにいなさい」
それでもだとだ。袁紹は二人に命じた。
「いいですわね。あの人のところに」
「そしてあの方の戦いをですか」
「助けよと」
「牙刀は確かにかなりの使い手よ」
曹操も認める程のだ。そこまでだという。
しかしだ。曹操はこの事実をだ。苦い顔で言うのだった。
「けれどね。その牙刀の目を奪ったとなると」
「危うい」
「だからですか」
「今度は目では済まないわ」
曹操は言った。
「それを防ぐ為にもね」
「わかりました。それでは」
「我々はこのまま」
「牙刀さんの傍にいなさい」
「わかったわね」
こう二人に命じる袁紹と曹操だった。そしてだ。
その彼等のところにだ。何とだ。
ほたるも来た。そのうえでだ。
強張りながらも決意している顔でだ。彼女達に言ったのである。
「兄さんのことですが」
「ほたる殿、まさか」
「聞かれていたのですか」
「すいません」
驚いた顔で自分の方を振り返る張?と徐晃にだ。ほたるは申し訳ない顔で答える。
「聞くつもりはなかったのです。ですが」
「丁度この天幕に来るところだったのね」
曹操が事情を察してほたるに話した。
「そうだったのね」
「はい、果物を持って来たので」
「それね。野苺ね」
「ですが」
自分の持っている野苺をだ。ほたるは今は見ていなかった。
俯いてだ。何も見えずに言ったのである。
「兄さんは。やっぱり」
「ほたるさんもわかっておられたのですね」
顔と言葉からだ。袁紹は察した。
「やはり」
「兄さんはいつもそうなんです」
ほたるは悲しい顔になり兄のことを四人に話す。
「自分で何でも背負い込んで」
「そういう人間ね。彼は」
「はい、ですから」
「言っておくわ。牙刀はね」
曹操は厳しい顔でほたるに話す。
「貴方達の父親を絶対にね」
「倒しますね」
「そうするわ」
こう告げるのだった。
「間違いなくね」
「はい、わかります」
「では貴女はどうするのかしら」
兄のことを話してから。妹に問うた。
「牙刀は貴女をどうしても闘わせたくはないけれど」
「いえ、私も」
ここでだ。ようやくだった。
ほたるは顔をあげてだ。こう答えたのである。
「父と闘います」
「そうするのね」
「私達は兄妹です。兄さんにだけ罪を背負わせる訳にはいきません」
それでだというのだ。
「ですから。私も」
「それでいいのね」
ほたるの目を見てだ。曹操は問うた。
「父殺しの罪を背負っても」
「私も娘ですから」
その男のだという
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