第百二十九話 ほたる、父を見るのことその二
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そしてだ。彼女はこう言うのだった。
「では今宵はわたくしは静かにですね」
「はい、お願いします」
「大人しくして下さい」
家臣達も何気にきついことを言う。とりわけだ。
田豊と沮授はだ。くれぐれといった口調で彼女に話すのであった。
こうだ。袁紹に対して言う。
「もう一国の宰相でしかも高位の将軍ですから」
「御自重下さい」
「上に立つ者は率先ですわ」
しかし袁紹も袁紹でだ。こう二人に返す。
「そうでなくては何ができますの?」
「ですから。率先して鰻と絡まれるのはです」
「幾ら何でも」
「わたくし、歌は知りませんわ」
少し聴くと何のことかわからないことだった。しかしだ。
袁紹はここでだ。従妹の名前を出したのだった。
「ですが美羽さんは歌えますし。華琳にしても」
「ですから美羽様は特別です」
「歌い手としての資質があり過ぎます」
田豊と沮授は袁紹は袁紹。袁術は袁術だと話す。
「そうしたことで対抗心を燃やされてもどうかと思いますが」
「しかもそこで鰻はないかと」
「鰻は袁家の誇りですわ」
こう言ったのである。鰻についてだ。
「だからこそと思いましたけれど」
「あっても止めてますから」
今言ったのは高覧だった。
「そんな妖しいことは」
「妖しい。あの鰻が」
「そうです。とりあえず御自重下さい」
高覧も言うことだった。
「全く。宰相になられてもそうしたところは」
「まあとにかくです」
?義はこう主に話した。
「今はお酒でも飲まれて」
「お酒ですの?」
「はい、葡萄酒はどうでしょうか」
?義が勧めるのはこの酒だった。
「曹操殿からの差し入れです」
「華琳からの」
「そうです。ではそれを飲まれますね」
「わかりましたわ。それでは」
袁紹は?義のその言葉を入れてだ。ワインを飲み幾分か落ち着いた。そしてそのうえでだ。彼女は家臣達に彼の話をするのだった。
「ところで牙刀さんですけれど」
「はい、あの人ですね」
「あの人が何か」
「あの方は以前目が見えなかったそうですわね」
袁紹が言うのはこのことだった。
「そうでしたわね。確か」
「その様ですね」
審配が答える。袁紹の家臣達は主の周りに集いそのうえで彼女と共に飲んでいる。袁紹は仕草で彼女達にも曹操からの差し入れの葡萄酒を飲む様に勧めたのだ。
それを受けてだ。彼女達も葡萄酒を飲む。そのうえでの話だった。
「ですがそれもです」
「華陀さんにですわね」
「はい、治してもらったそうです」
「それはいいことですわ。ですが」
「その目を傷つけた人がです」
「問題なんですよね」
顔良と文醜はこのことについて曇った顔で述べる。
「牙刀さんのお父さんだとか」
「自分の父親にやられたらしいですね」
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