第四十二話 カレーライスを食べてその三
[8]前話 [2]次話
「いいのよ」
「献立作りやすいとか?」
「身体にもいいでしょ」
「お野菜にはビタミンあるからよね」
「ええ、だからいいのよ。これからもね」
「お野菜も食べることね」
「食べるものはバランスよく沢山よ」
そうするべきだというのだ。
「幾つになってもね」
「今だけじゃないのね」
「そうよ、ずっとよ」
生きているならというのだ。
「そうしないと駄目よ」
「インスタント食品や冷凍食品ばかりじゃ駄目なのね」
「コンビニで買ったをそのままとかね」
「そういうのばかりは駄目なのね」
「時々そうしたものを食べてもいいけれど」
それでもというのだ、実際留奈の母にしてもそうしたものを作って食べる時はあり留奈も知っていることだ。
「いつもは駄目よ」
「普段はちゃんとしたものね」
「それを食べることよ」
「それが大事なのね」
「日本の政治家さんはそこがどうもね」
「駄目なの?」
「あの人達忙しいからってそういうので済ませるでしょ」
インスタント食品や冷凍食品でというのだ。
「あれはね」
「駄目なのね」
「そう、実際にそれで栄養失調で死んだ人いるから」
「えっ、そうなの」
「太宰治のお兄さんよ」
昭和の文豪として知られた彼のというのだ。
「あの人のお兄さん政治家だったのよ」
「そうだったの」
「今もお兄さんの血筋が政治家よ」
「そういえば太宰の家って大地主だったわね」
留奈もこのことは知っていた、鍋の様子を見てかき混ぜつつ応えた。
「津軽の」
「それでお父さんも政治家でね」
「お兄さんもなのね」
「国会議員も青森県知事も務めたのよ」
「名士ね」
「色々あった人だけれど」
汚職事件の話があったり暫く逼塞していたりしていた。
「政治家って忙しいから」
「そうしたので済ませて」
「栄養バランスが悪くてね」
「栄養失調で亡くなったの」
「そうよ」
このことは太宰の師であった井伏鱒二が書いている、尚井伏と太宰のこの兄は同じ大学でその時に会ったこともあったらしい。
「それで今もね」
「忙しいから」
「そういうので済ませてるのよ」
「政治家も大変ね」
「けれど忙しい人程ね」
母はサラダのレタスや胡瓜を食べつつ話した。
「食べないといけないのよ」
「栄養補給はしっかりね」
「そうしないと働けないわよ」
「そうね、動きたいならね」
「しっかり食べないと」
栄養バランスを考えて多くというのだ。
「駄目よ、昔から日本の政治家ってそうなのよ」
「食べるものが駄目なの」
「明治からね」
「いいものばかり食べてそうだけれど」
「それが違うのよ、伊藤博文さんなんか凄かったのよ」
明治の元勲であり初代総理であった彼はというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ