第七十五話 デモその三
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「それで甲種一番いいのでないとね」
「まず駄目よね」
「それで品行方正な人でないと」
「駄目だったのよね」
「志願して来る人なんて」
士官学校等にだ。
「無茶苦茶採用基準厳しかったし」
「そうよね」
「クラスで一人か二人なったら」
それこそというのだ。
「いい位よ」
「そこまで厳しかったのよね」
「小説家とか詩人とか思想家でなったのって志賀直哉さん位よ」
徴兵に合格した者はだ。
「殆どの人合格してないのよ」
「殆どなのよね」
「夢野久作さんは最初軍隊にいたけれど」
少尉であった、とはいっても中々特殊な事情で軍にいた。
「徴兵に合格した作家さんは」
「志賀直哉さん位なの」
「森鴎外さんは陸軍にいたけれど」
「軍医よね」
「だからまた別よ」
舞姫や雁で知られるこの文豪の場合はだ。
「夏目漱石さんは兵隊さんになるのが嫌で北海道に移住したけれど」
「一時よね」
「この人結核の疑いあったから」
兄弟もそれで早世している。
「まずね」
「合格しなかったのね」
「兎に角ちょっとしたことで不合格になったから」
「兵隊さんになる方が難しかったわね」
「そうだったのよ」
こうそのクラスメイトに話した。
「そんな北朝鮮みたいにね」
「国民皆兵じゃなかったわね」
「むしろ合格した人の方が凄くて」
そして軍に在籍すればだ。
「志賀直哉さんだってすぐに除隊させられたし」
「折角入隊出来たのに」
「耳が悪くて」
そう判断されてだった、尚志賀直哉は兵士であった頃かなり快かったことが伺える写真が数点残っている。
「すぐにだったのよ」
「厳しかったのね」
「二次大戦はあんな状況だったから」
まさに総力戦で国の全てを賭けて戦わねばならなかったからだ。
「だからね」
「あそこまで兵隊さんを増やしたわね」
「けれどそれ以外の時は」
「少なかったのね」
「そうよ」
これが戦前の日本の現実だったのだ。
「本当にね」
「そうだったのよね」
「だから」
咲はさらに話した。
「徴兵制反対と言ってもね」
「戦前に戻すなとか」
「あと戦争するなとか」
「そう言ってもね」
「おかしいわよね」
「日本だって好きで戦争した訳じゃないから」
戦前の日本もというのだ。
「決してね」
「だって戦争したら人死ぬし」
「お金沢山使うし」
「しかも負けるかも知れないじゃない」
「実際に二次大戦負けたしね」
「太宰治言ってたわよ」
この作家がというのだ。
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